2006年12月06日(水)

CDTubeの使い道

CDTube - カウントダウンチューブ

既に各所で話題になっているCDTube(カウントダウンTVのサイトからランキングデータを引っ張ってきて、その楽曲をYouTubeで自動的に探してページ内にEmbed表示させるサービス)だけど、レコード会社の人間がこれだけ見たら普通は「なんだこれは! 中国韓国の違法ストリーミングサイトよりもひどい著作権侵害横行サイトじゃないか!」みたいな反応を起こすだろう。こういう「便利」なサービスが出てくれば、そりゃ権利者の方はYouTube憎しでロビーイングして、ダウンロード違法化法案とか作ろうとするだろう。その流れはまぁ自然というか理解できる範囲。

著作権法改正についてはまた別のところで書くつもりなので今回は置いておくが、CDTubeを見て真っ先に思ったのは、「Web 2.0」とか「マッシュアップ」ということがよくわからない上司に、このサイトを見せれば「WWW上に公開された情報であるカウントダウンTVのランキングデータを引っ張ってきて、そのデータを元にYouTubeにアップされた動画を自動的に検索して、PVをページに自動的に表示させ、さらにはPV見て気に入った人はAmazonにジャンプしてすぐに楽曲が買えるシステム」がほぼ自動的に構築されているということを理解させやすいんじゃないかということだ。

公衆送信権が規定として設けられている日本でも、このCDTubeの開発者はアップロードした主体ではないので、あくまで自動的にYouTubeのデータを表示しているだけ。引っかかるとしたらTBSに著作権があるCDTVのランキングデータを転用しているところなんだろうけど、これもあくまでYouTubeで検索するときのキーとして利用しているわけで、そのまま「転載」しているわけじゃない。このあたりが著作権法上どのような扱いになるのかは興味深いところだ(ランキングデータは著作物性のない「事実」なのか「著作物」なのかという議論もあるかもね)。

いずれにせよ、現状著作権侵害の違法サイトとしてしょっぴくのだとしたら、せいぜいWinnyと同じく著作権侵害幇助で無理矢理しょっぴくしかないのではないだろうか。もしかしたら解釈次第ではEmbed表示の場合もアップロードの主体になる可能性もゼロじゃないのかもしれないが、そのへんの細かい法律論はちょっと俺もわからない。要するにこういうWeb 2.0的なマッシュアップサービスが現状の著作権法の下でどのように扱われるか、というさまざまな問題点・論点がこのサービスで浮き彫りになっているといえる。

CDTVなんて俺も久しく見ていない。実際あれをランキング最初から最後まで見るには時間がかかりすぎるし、自分が興味のない楽曲を見せられても「今こんなのが流行ってるんだね」的なことを知る以上のメリットはない。だったらネットで興味のあるものをオンデマンドでぱぱっと見られた方が時間の節約になるし、「ネット的」だ。置かれているのは商品を「宣伝」するためのPVであるわけで、自動的にその商品を(Amazonを使って)「販売」するシステムまでも整っている。だから、音楽業界はこういうサービスを見たときに怒りまくって潰すのではなく、まず最初にCDTubeが存在したことでどれだけの経済的損失が生まれたのか、あとはここ経由でCDの販売促進効果がどれだけあったのか、本気で調べてみるということから始めればいいんじゃないかと思う。それこそ作者の人に始めてからどれだけAmazonアソシエイト経由の購入があったのか聞いてみるとかね。

今の時代、PVは以前と違って「あとでDVDで発売するかもしれない動画商品」になったが、YouTubeのクオリティの画質で流れることの経済的損失(あの荒い画質のPVをサイト上で見ることでPVを含んだDVD商品を買わなくなったという人がどれだけ増えたか、ということ。俺はほとんどいないと思う)をレコード会社が本気で調べているなんて話は聞いたことがないし、ああいう消費者ニーズに見合った便利なデジタルコピーがもたらすポジティブな効果もはかった上で、あえて「この程度は不問に処す」という選択もゼロではないのではないか。もはやレコード業界だってとっくに護送船団時代じゃなくなってる。生き残りをかけてしたたかな戦略を考えたときに、むやみな権利保護強化しか道がないというのではあまりにも状況が理解できていない。

CDTubeは音楽業界の人間が今時のウェブというものをどれだけきちんと認識しているのか、ということを調べる上でとてもよくできた「リトマス試験紙」なのだと思う。

なんか数年前は音楽業界の中に、こういうサービスが登場したときに素朴に「あーあれ便利だよね。面白いよね」と言える人間が結構いたと思うんだけど、そういう人は今はどんどん独立したり、閑職に追いやられちゃったりして、本気でこういうサービスを潰したいと思うガチガチな人ばっかりになっちゃった印象がある。実際のところ、そのあたりどうなのかねぇ。

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