2005年02月21日(月)

Yahoo! JAPANが音楽配信サービスに参入

Yahoo! JAPANとレーベルゲートが提携し、音楽配信サービスを開始
Yahoo! JAPANとレーベルゲートが音楽配信サービスで提携

上記リンクはレーベルゲートのプレスリリース。要するにYahoo!が今まで提供してきた音楽情報サービス「Yahoo!ミュージック」に(レーベルゲートと提携して)音楽ダウンロード機能が加わるということだ。

さて、リリースでは近日開始ということしか触れられておらず、具体的な詳細は明らかになっていない。が、いくつか見逃せないポイントがあるので、そのあたりをちょっと分析してみよう。

「Yahoo!ミュージックダウンロード」は、総合ポータルサイトとしては最大級となる、メジャーレーベル中心の全39レーベル(予定)、約7万3千曲(予定)の楽曲を用意し、そのほぼ全楽曲を試聴・購入できる、本格的音楽ダウンロードサイトです。サービス開始後もさらに楽曲を追加していく予定です。

楽曲数が最大級というのは、大手メジャーの合弁会社であるレーベルゲートと提携するわけだから、まぁ当然と言えば当然の話。ただ、実際に用意される楽曲数は約7万3000曲と少ない。たいていの音楽配信サービスが公開する楽曲数は、雑誌の公称部数みたいなもんで、どんぶり勘定でいい加減な数字であることが多い(これにはいろいろな理由がある)のだが、今回のリリースでは7万3000と細かい数字になっている。あえて細かくしているということから考えても、これは実数に近い数字なんじゃないだろうか。しかし、そうなると1つ疑問が出てくる。リリース内のMoraの説明を見ると……

2004年4月からは従来のATRAC3によるサービスブランドを「Mora」とし、現在のコンテンツ数は約10万曲を数え、2004年度の有料ダウンロード数は約200万曲を見込んでいます。

と書かれており、現在の配信楽曲数が10万曲を超えているのが分かる。となると、Yahoo!の音楽配信は楽曲数が「減って」いるのだ。これはどういうことなのだろうか? 参加レーベル一覧を見てみると……

■参加予定レコード会社・全39社(五十音順)

・株式会社アンダーフラワー
・有限会社ウエストフォースプロダクションズ
・株式会社エムシージェイピー
・有限会社エル・ディー・アンド・ケイ
・株式会社キャシーズソング
・キングレコード株式会社
・株式会社ジェイディスク ビーイング
・株式会社CITY WAVE
・SWEET HYSTERIA MUSIC
・スリーポイントレコード
・有限会社セーニャ・アンド・カンパニー
・株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
・株式会社ダーウィン
・株式会社デジタル・ラボラトリー
・株式会社トイズファクトリー
・東芝EMI株式会社
・株式会社徳間ジャパンコミュニケーションズ
・有限会社ドマーニ
・株式会社ドリーミュージック
・株式会社ハーモニープロモーション
・株式会社パワー・ボックス
・株式会社BMGファンハウス
・ビクターエンタテインメント株式会社
・B-Style
・株式会社フォーライフ ミュージックエンタテイメント
・プラティア・エンタテインメント株式会社
・有限会社フラワーレコーズ
・株式会社ブルース・インターアクションズ
・有限会社フレイヴァー・オブ・サウンド
・株式会社ポニーキャニオン
・有限会社マイスター・ミュージック
・株式会社マグネット
・株式会社ミュージック・オン・ティーヴィ
・ヤマハ株式会社
・株式会社ヤマハミュージックコミュニケーションズ
・ユニバーサル ミュージック株式会社
・株式会社レインボーエンタテインメント
・ロードランナー・ジャパン株式会社
・株式会社ワーナーミュージック・ジャパン

となっている。大手メジャーはほぼ参加しているのだが、何社か参加していないところがある。その中でも一番気になるのはエイベックスが不参加なところだろう(ほかにも、レーベルゲートの出資会社であるのに参加していないところとして、コロムビア、テイチク、プライエイドあたりが挙げられる)。Moraには楽曲を出せてなぜYahoo!には出せないのだろうか? 大株主の有線ブロードネットワークスがYahoo!とめちゃめちゃバッティングするビジネスをやっているからなのだろうか?

あまり知られていないことだが、実は昨秋からレーベルゲートが新たに始めたWindows Media Audioベースの音楽配信サービスMusicDropに、エイベックスは楽曲を提供していない。エイベックスは自社サイト内に@MUSICという音楽配信サービス(ポータル)を構築しており、そちらでWMAベースの楽曲も提供している。それとの競合を避ける意味でMusicDropには楽曲を提供しない方針なのかもしれない(わざわざ自前でWMAベースのコンテンツ販売システム構築したのに、レーベルゲートにライセンス料払ってWMAを販売させることはないよね、という判断なのかも。このあたりは分からないが)。

エイベックスは元々音楽配信に積極的な会社で、自社音源のほとんどを配信していると言ってもいい。MoraでもSMEの次に配信されている楽曲が多いはずだ。そのエイベックスがYahoo!の音楽配信に楽曲を提供しないということが、今回の7万3000曲という数字につながっているのだろう。

エイベックスが提供しないという事実から推測するに、このYahoo!の配信方式にはWMAが使われるのではないだろうか。そうでなければエイベックスの楽曲だけ提供されない理由が分からない。楽曲数が明らかにMoraよりも少ないにも関わらず、リリースではMusicDropには一切触れずMoraだけにしか触れていないというところに、微妙な「大人の事情」が感じられる。今のところITmediaAV Watch朝日新聞などはATRAC3での配信形式と報道しているけど、本当にATRAC3なのかね。恐らくこれは誤報なんじゃないかな(あるいはYahoo!側が勘違いしてるとか)。報道だけATRAC3になっててリリースのどこにもATRAC3と書かれていないのが気になる。邪推かもしれませんが。

インディーズレコード会社が多いことに注目する人もいるかもしれないけど、Moraは実はインディーズも取り扱っており、ここで発表されたレコード会社は恐らく既にMoraで配信済みのレコード会社ばっかりだと思う(これはあとでレーベルゲートに確認しようと思います)。

さて、昨年からポータルによる音楽配信が盛んになってきたわけだけど、ここで「本命」とも言えるYahoo!がついに参加した。Yahoo!は本国ではLaunchを買収して無料の充実した試聴サービスをやっていたり、最近ではMusicMatch買ったり、聴き放題型音楽配信の「Napster 2.0」の販売窓口をやったりして、かなり積極的に音楽配信に対してコミットしている。制約の多い日本でどれだけのサービスができるのかはまだまだ不透明だけど、Yahoo!ミュージック自体にテコ入れをしていく方針のようだし、その一環で現状もっとも幅広く楽曲を揃えられるレーベルゲートと組んだと言えるだろう。実際問題ExciteやらMSNやらOCNやらgooなどのポータルはWMAで音楽配信やってるけど、楽曲のほとんどは東芝EMIとワーナーだけというお寒い状態。MSNミュージックの楽曲販売ランキングとか見ると分かるけど、かなり普通のCDランキングとは異なる状況になっている(涙そうそうが今この時期に2位って!)。

ほかのポータルのように自前でWMAの音楽配信をやる場合、どうしても東芝EMIとワーナーに偏ってしまうという問題があるわけだ。昨年メジャーで唯一の「勝ち組」だったSMEの楽曲をサービス開始当初に揃えられないっていうのは厳しいわな。そういう意味で、ポータルがやる音楽配信としてはSMEの楽曲が入っている時点で現時点では「最強」のサービスと言ってもいいだろう。ただまぁ、CDバーニングだったり、価格だったりといった消費者がもっとも気になる部分についてはレーベル任せという状況は当分変わらないだろうから、そういう意味ではあまりインパクトが大きいニュースではないのかもしれない。どこのポータルも苦労はしてる部分ではあるけど、会員制サービスとの連動をどれだけ密にできるかということが今後のポイントになってくるのかもね。

そう考えるとYahoo!ウォレットが利用できるのは強みではある。あらかじめ登録したクレジットカードを使って少ない手順で購入できるのは、小さなことだけどポイントは高い。なぜなら音楽配信において購入時のインターフェースというのはかなりのプライオリティーを占めるからだ。Yahoo!ウォレットの場合、オークションなどで利用機会も多いので、あらかじめクレジットカードを登録してる人も多いだろう。そういう人が面倒なカード登録手続きを経ずに少ない手順で楽曲を購入できるとしたらかなりのメリットになるはずだ(リリースでは、Yahoo!ウォレットの利用者は1000万人以上と書かれているしね)。

「iTunes Music Storeは今春には始まらない」という業界内の噂が聞こえてくる昨今、Yahoo!はiTMSが始まるまでの数カ月でどれだけユーザーを刈り取れるのでしょうか。ライブドアが音楽配信やるなんて話もあるし、オリコンの音楽配信は一体どうなるのかみたいな動向なんかも含めて、今春の音楽配信サービスは要チェックですな。

| 音楽配信 | この記事のURI | Posted at 12時22分 |

_EOF_