2005年06月22日(水)

hotwiredに韓国の音楽業界を取材した記事を書きました&著作権侵害云々の話

ブロードバンド先進国・韓国の音楽産業事情(hotwired)

詳細は上記リンク先を読んでくださいという感じで。

韓国は確かに著作権的にはかなりめちゃくちゃな国ですが、ここ数年のキャリア側、コンテンツクリエイター側、消費者側の激しいせめぎ合いの結果、ようやくビジネスとしてまともな方向に向かい始めたという感じみたい。上の記事ではBugsはまだ無料で頑張ってると書いてるけど、著作権料の支払いがきつくて、今後は完全有料化せざるを得ないだろうという話も最近韓国事情に詳しい人から聞きました。

取材で印象的だったのは、韓国の音楽業界ってこんだけめちゃくちゃな状況なのに、意外と中で業務に携わってる人はポジティブってこと。日本以上にCD売り上げは落ち込んでるのに、いろいろ新しいアイデアを仕掛けていこうと思ってるし、そういう新しいアイデアに対して日本みたいに規制が先に立つことがないから、その中からcyworldみたいに大化けするビジネスが出てくる(まぁcyworldは純粋な音楽ビジネスではないけどね)。

あまりにも極端だから、それをそのまま日本に持ってくることはできないとは思うんだけど、参考にすべき点はたくさんあると素朴に思ったよ。なんかほら、日本の音楽業界人は悲観的で、売上落ちてる原因を自分たち以外に求めようとしたり、オンライン化の波がすぐそこまで来ているのは肌で感じてるけど、先がどうなるかまったく読めないからできるだけそういうオンライン化の波をゆっくりさせようとしている人が多いじゃん。本来がクリエイティブな業種なのに必要以上にサラリーマン的価値観が横行し過ぎてしまったという結果、そうなってる。これは完全に音楽バブルがいけないんだけど。もちろん、音楽は大きな「産業」になったからサラリーマン的価値観も重要なんだけど、それが多数派になっちゃたらなかなか面白いものは生まれてこないよね。

さて、どうすりゃいいんでしょうか。

で、タイミング的にこの記事を踏まえた上で今ネットをにぎわせている「著作権をカジュアルに侵害するサイトとかパクリ問題とかそれの遵法意識」とか、そのあたりの議論を見ていくと思考が広がっていくのではないかと。
「企業ならアウト、庶民様なら OK」の身勝手さ(趣味のWebデザイン)
知財にたかるパクリ違法サイト(備忘録ことのはインフォーマル)
翻訳権とブログ(finalventの日記)
著作権とパクリと遵法と企業と個人のお話(おれはおまえのパパじゃない )
相手の発言を、自分の主張している意見に当てはめるために歪んで解釈(ARTIFACT@ハテナ系)

俺はシンプルなスタンスで「著作権は大事だけどガチガチに規制したり、当事者でないヤツが必要以上に騒ぎ立てる人たちが主流派になると、文化的におもしろいものを生み出さないだろう」って感じ(その意味でテラヤマアニさんの文章にはとても共感した)。上の韓国の記事で「日本の音楽業界が韓国から学ぶべきことが多いんじゃないか」って書いてるのもそういう部分がベースにある。

こちらのはてなダイヤリーで、

主宰の津田さんに直接聞いたことはないが「ネットラジオを、違法でなくても面白いことができる、良い音楽が流せる、しっかりとしたメディアとして確立させる」という意図があるのではないだろうか、と勝手に感じている。

という指摘があるが、これは半分正解で半分間違い。違法なネットラジオも、合法なネットラジオも混在してていいし、それが健全な状況だと思う。ただ、今違法でおもしろいネットラジオ作っている人たちが合法で大手を振ってさらにおもしろいものを作れるようになればよりベターかなとも思う。

違法ということで話をすると、ビジネスに深刻な影響が出ない範囲の「海賊行為」であれば、俺は全然存在していいと思っている。より正確に言えば、著作権者が本来取得できた利益をかすめ取るようなことを第一の目的として海賊行為は、きちんとしかるべき機関が取り締まればいいと思うが、その文化の振興に深くコミットする海賊行為というものも世の中にはたくさん存在するわけで、そういうものの扱いはグレーのまま放置しておけばいいんじゃないの、という話。

例えば自宅で行われるCDリッピング→iPodへのコピーなんてのはカジュアルな海賊行為の典型だろうが、あの文化・スタイルが普及したことで、音楽CDの購入数が増えた人も俺はたくさん知っている。昔JASRACに取材したとき、いみじくもJASRACの中の人はパソコンのリッピングやCD-Rが普及したことを「家の中に海賊盤製造工場があるようなもの」と表現したが、じゃあこれを全部違法行為にして、音楽は買った音楽CD1枚でしか楽しめないなんてことになったら、それこそ音楽文化は明らかに衰退するだろう。もっと言ってしまえば、そういう海賊行為が登場しないような文化は、そもそも「文化」として魅力を失っているのではないか。音楽だけで話をすれば、まだ海賊行為が生まれるくらい人々のニーズがあるということだし、あとは結局そのニーズをどうお金に変えていくべきなのか、というビジネスの在り方の話に集約されるのだと思う。どっちかというと、文化論より俺はそのビジネス論の話がしたいのだ。だから上の韓国の記事も書いた。

だから、こうやって俺的アルファブロガー(笑)の人たちが、みんなにこの問題を考えさせてくれる重要な問題提起をしてくれたことは大変素晴らしいことだと思う。意見はいろいろあっていいよね。そういう多様な意見に触れて、自分がどんなことを考えられるか。ここが一番重要だし、何か思ったことがある人はみんなぜひブログでパブリッシュすればいいと思う。

| 音楽業界全般 | この記事のURI | Posted at 15時28分 |

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