2005年08月23日(火)

テレビとタイアップと音楽著作権と

テレビが独占する音楽著作権利益の実態(1)

作曲家・JASRAC評議員で、音楽学校アムバックス代表の穂口雄右氏が今のテレビ主体の著作権料ザル分配システムについて苦言。こういう発言が業界の中から出てきたってことは非常に意味のあることだと思う。

テレビ朝日ミュージックのいろいろな噂ってのは業界の人にちょっとでも聞けばたくさん話してくれるだろうけど、一番有名なのは「ミュージックステーション」に出演する場合、音楽出版権をテレビ朝日ミュージックに預けるのとバーターっていうことだろうね。たまーにあまり知名度のないミュージシャンがミュージックステーション出ることあるけど、そういう場合JASRACのデータベースで、そのアーティストが出演したときに歌った曲を調べてみるといいよ。かなりの確率で出版権がテレビ朝日ミュージックだから。例えば最近だったら8月12日に出演した清木場俊介。ここで彼は「さよなら愛しい人よ…」を歌っているが、この曲は出版をテレビ朝日ミュージックが持っている。8月5日に出演したサスケなんかもJASRACで調べる限り、全部の曲がテレ朝ミュージックだね。もちろん、全部が全部テレビ朝日ミュージックに出版預けなきゃ出られないというわけではない(大物にそういう強制をできるわけもないしね)けど、こういう「取引」ってのは実際問題今のテレビを中心とした「J-POP産業」の現場では普通に行われている。

こういうのを嫌う音楽ファンは多いだろうし、実際癒着と言えば癒着だろうけど、音楽にさほど思い入れがないクールな視点で考えれば、強力な「音楽メディア」を持っているテレビ朝日がその旨味を最大限活かしただけとも言えるわけで、「ビジネス」的には別に間違いではないんだよね。まぁ「文化」を育てるという観点で見れば、この状況は「終わってる」けどな。

昨年発刊した音殺で、高橋健太郎さんにインタビューしているんだけど、その中で高橋氏は「米国は放送局が音楽出版社を持つことは禁止されているが、日本はOK。だからテレビ局系の音楽出版社や芸能事務所に出版権を渡してタイアップを取ってようやくヒット曲を出せるという状況になってしまった」と述べている。タイアップすりゃまぁそれなりに売れることは見込めるんだから、その出版権を要求して右から左に流すだけでガッポガッポ銭が入ってくるんだからホントいい商売ですよ。穂口雄右氏が上のコラムで書いていることもそういうことを言っているんだと思う。

JASRACが今のままでいいわけないのは当然として、問題はJASRACだけでなく、「音楽業界の分配ルールをどうやって構造改革していくべきなのか」って話なんだよね。iTMSやmF247の登場は配信におけるルールに関してそろそろ考えなおさなきゃいけないよねっていう良い契機になると思うし、今この改革をやらないとホントに音楽は「文化産業」としては落ちていくばっかりなんじゃないかな。そういう危機感を業界内部の人はもっと持った方がいいんだろうけど、自浄努力にどれだけ期待できるのかって話もあるしねぇ……。

| 音楽業界全般 | この記事のURI | Posted at 23時15分 |

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