2005年09月05日(月)

SMEがiTunes Music Storeに楽曲提供の方針を固める

ソニー、ネット音楽配信でアップルに楽曲提供(YOMIURI ONLINE)

これは読売のスクープ? SMEがiTMSに楽曲提供するかどうかに関してはまさにそのテーマで今売りのMac People誌の連載記事で書いた。関係する部分を抜粋すると……

音楽業界内のシェアという意味では、やはりSMEの不参加が目立つ。アップルとSMEが水面下で交渉をしていることは周知の事実だが、iTMS−Jに参加するということは、SMEが楽曲価格の決定権を事実上放棄する(150円か200円に固定されるため)ということだ。権利ビジネスに最も敏感なSMEが参加しない大きな理由はこの価格決定権にあり、それは8月9日付の日本経済新聞に掲載された、SMEのコーポレート・エグゼクティブである秦幸雄氏の「価格決定権は譲れない」という発言が示している。

しかし、SMEの不参加も時間が解決する問題だろう。アップルの発表によれば、iTMS−Jは開始からわずか4日間で100万曲ダウンロードを達成した。一方、国内最大のMoraは1カ月で45万曲ダウンロード程度。iTMS−Jは、Moraの2カ月ぶん以上の楽曲数をこの4日間で販売したことになる。アップルによれば1カ月1000万曲ダウンロードも視野に入っているとのこと。仮にiTMS−Jがこの1カ月で1000万曲ダウンロードの偉業を成し遂げたとしたら、SMEの牙城であるMoraの約20倍にあたる市場が形成されたとも考えられる。そんな「オイシイ」市場にSMEが参入しない理由はない。

実は昨年11月、auが「着うたフル」のサービスを開始した当初も、SMEは楽曲を提供しなかった。ところが着うたフルが好調と見るや、不参加の方針を翻し、現在は420円という高価格で参入している。SME的には、iTMS−Jには価格決定権がないというデメリットがあるものの、楽曲を提供することで得られる利益も大きい。着うたフルの「前例」から予想すると、iTMS−Jの様子を数カ月見て、「いける」と判断したならば参入してくるのではないだろうか。無論、SME以外のレコード会社もiTMS−Jが音楽配信のデファクトスタンダードとして定着するなら、楽曲を提供することにやぶさかではないだろう。

※一部改変転載。全文読みたい方はMac People買ってください。

記事はこんな感じ。このスクープが事実だとしたら予想が当たったという意味でも、音楽配信に与える好影響という意味でもうれしい。ただ、書き方が「年内にも配信用の楽曲を提供する方針を明らかにした」と、ソース元をぼかしているので恐らく近しい人間から漏れてきた情報を記事にしてるんだろうね。流れとしてはこの記事を見たほかのメディアが今日の午前中からSMEに取材電話→SMEが「報道は事実と異なる。交渉していることは確かだが、まだ合意していないし、出す方針を固めたわけではない」みたいなコメントを出す→11月〜12月にSMEが「音楽配信サービス市場の盛り上がりを受け、できるだけ多くのリスナーに音楽を届けるというレコード会社の指命としてiTMSに楽曲を提供することを決断しました」みたいなリリースを出す、こんな流れじゃないだろうか。12月はORICON STYLEへのATRAC3形式の楽曲提供を開始する時期だったはずだから、それと合わせてくる可能性もあるね。

SMEが提供し始めたらほかのレコード会社も堰を切ったように参入してくるだろう。本当の意味でのサービス競争がこれで始まってくれるなら一ユーザーとしては諸手を挙げて歓迎しますよ。

ちなみに意外と知られていないことだが、今は邦楽と比べて洋楽カタログが「充実している」と言われているiTMS-Jだが、実は4大メジャーであるSonyBMGの楽曲は日本では配信していない(他の国は配信しているが)。だから、今買おうと思ってもiTMS-JでAvril LavigneもFiona AppleもJeff BeckもBeyonceも買えないのだ(まぁ楽曲が買えないのは単にアップロードが追いついてないだけという可能性もあるが、米iTMSで買えるSonyBMGの音源はiTMS-Jでは今のところ見当たらない。単に俺の探し方が悪いだけかもしれないのであったら教えてください)。俺は最初iTMS-Jは米iTMSで4大メジャーに許諾取っているからそれをそのままiTMS-Jにも適用する感じで「100万曲」ってぶちあげたのかと思ってたのだが、いろいろな話を聞く限り、どうやら日本での洋楽配信も日本支社を通してやっているようだ。んで、SMEはSonyBMGの楽曲許諾をしていないってことがそういう洋楽カタログの不均衡につながっているのだろう。SMEがiTMSに参入することでそのあたりも是正される可能性はあるよね。洋楽ファンは注目しておくべし。

(追記)
アップルに楽曲提供へ ソニー系レコード会社(Web東奥)
共同通信も配信してるのね。
敵に“音楽”ソニーがアップルに提供、戦略つまずき(ZAKZAK)
ZAKZAKも。

AV Watchによれば予想したとおりSMEは「楽曲提供方法の拡大は以前から計画しており、iTMSとも話し合いを行なっている。だが、現在はまだ条件について交渉・検討中の段階で、特に大きな進展があったわけではない。年内など、具体的なサービス開始時期も決まっていない」とコメント。結局SMEも出すか出さないかという選択で言えば、長期的に見たときに出さざるを得ないんだろうけど、今はまだ有利な交渉を進められる時期でもあるし(何より今のヒットメーカーをたくさん抱えているという強みがあり、CDビジネスだけで十分黒字を出している。東芝EMIのように「焦る」必要がないんだよね)、提供するにあたってできるだけ有利な条件を引きだそうということなんだろうね。あとはそういう交渉をサービス上に出てこない「裏」で行うのか、サービス面にも反映される「表」で行うのかってことでもあるんだろうけど。

| 音楽配信 | この記事のURI | Posted at 06時25分 |

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