2005年11月22日(火)

JASRACシンポジウムでしゃべってきました

ブロードバンドコンテンツの普及に向けた権利面の課題とは(Internet Watch)

それぞれ立場があまりにも違うのでディスカッションとしては論点があちこちに行ってしまいがちで、コーディネーターの大渕先生は大変だっただろうなーと思いますが、このInternet Watchの記事はすごいですね。よくあのとっちらかったシンポジウムをここまできれいな記事にまとめられるもんだと感心しました。

記事の中での俺の発言で

「現状のJASRACの規定では、Podcastingはストリーミングではなくダウンロードという扱いになり、課金が青天井になってしまう。iTunes Music Storeのような楽曲のダウンロード販売では1曲いくらという課金も理解できるが、Podcastingのようなものについては課金の上限を設けてもいいのではないか」

ってところがあるけど、実際にはこれは具体例を挙げて説明した。J-WAVEというFMラジオ局でよく放送中に流れる「エィティーワンポインスリー〜ジェーイウェーブ♪」というジングルがあるんだけど、あれはJASRACに登録された「楽曲」扱いになっている(ここらあたり見ると、ジングルが着うたとして販売されてたりするから当然といえば当然なんだけど)。

で、J-WAVEはPodcastもやっているんだけど、Podcastではこのジングルを使うことができない。いや厳密には使えるのだが、Podcastはダウンロード扱いになってしまうため、JASRACの利用規程では1ダウンロードにつき6.6円または5.5円の利用料をJASRACに払わなければならないのだ。J-WAVEのPodcastが広告が付いているかどうかはわからないけど、仮に広告料収入なしで5.5円だとして、Podcastに1万人の登録者がいたとしよう。Podcastは新しい番組がアップロードされたら自動的にダウンロードされる仕組みになっているから、1日1番組アップロードしたら、毎日1万のダウンロードがあるわけだ(厳密には違うが、ここでは話をわかりやすくするためそう仮定する)。で、利用料金を計算すると、毎日5.5円×1万=5万5000円の料金がかかる(一日複数番組をアップロードしたり、ダウンロード数がもっと大きければ当然その金額は青天井で増えていく)。1日5万5000円といったら、10日で55万円、1カ月で約165万円。1年で考えれば約2000万円利用料金をJASRACに支払わなければならないということになる(無料で作ってる番組なのに月200万円近く払わなきゃいけないなんて馬鹿げてるにも程がある)。こうした制度上の問題があるため、J-WAVEが制作した楽曲でもPodcast上ではJ-WAVEが自由に使うことができないのだ。iTMSとかMora、着メロ、着うたみたいな楽曲ごとに課金(著作権処理)が必要なサービスでは、都度課金っていうのは当然あってしかるべきだけど、このように制作者がある種プロモーション目的で「無料」で配信するようなケースは、一律「ダウンロード」という形でくくるんじゃなくて、毎月の上限額を決めるなりして対応した方がいいんじゃないの? そうしないといつまでたっても音楽業界のPodcast利用は進まないよ、という趣旨で発言したということです。

それにしてもこのシンポジウムの反応でこういうのが多いわけだけど、あまりの理解力のなさに笑ってしまう。この件に関しては他ならぬ高橋氏(テレビ局側の人)が「JASRACが真っ先に交渉に応じてくれ、1.35%という数字が決まった。これがなかったら、作業はもっと困難だっただろう」と言っているのにね。

まぁ彼らはJASRAC叩けりゃ何でもいいんだろうけど。事実がどうあれそこまで嫌われるだけのことをJASRACはしているってことなんだろうね。結局はJASRACの広報宣伝戦略が貧弱だってことになるのかも。

ただ、叩く側も単にヒステリーみたいに叩いても彼らには絶対言葉は届かないってことをいい加減認識すべきだ(「カスラック」とかそういう蔑称使ってる奴は問題外な)。JASRACがおかしいことはきちんとソース出しておかしいって言っていけばいいけど、音楽業界にはJASRACよりレコード会社の方がおかしいがために進まない部分とかもたくさんあるんだから、せめてそういうのはきちんとレコード会社叩くようにしなきゃいけない。消費者の方もそういうところからきちんとリテラシー上げて行かなきゃいつまでたっても状況変わらないよ。

| 音楽業界全般 | この記事のURI | Posted at 23時48分 |

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