2006年12月25日(月)

オリコン訴訟問題について音楽業界関係者に取材しました

この件に関して、「オリコンチャートは本当に操作が可能なのか?」ということをテーマに音楽業界関係者に取材を試みました。反応は実にバラバラで、この問題の複雑さの一端がこれらのインタビューである程度は明らかになっていると思います。

レコード会社、チャート関係、小売店、それらのどこにいるかということでもこの問題に対する見方は変わってくるし、入ってくる情報も異なるでしょう。立場が違う人からみれば当然「それは違うよ!」という意見もあるかもしれません。そういう方がいらしたらぜひ僕に連絡してください。取材させてください。このエントリはいろいろな取材ができ次第、どんどん追加していこうと思っています。

あと、取材原稿に入る前に書いておきます。僕の基本的な立場は何度か書いてますが、チャートが一企業が作成する「メディア」的な性質を有するものである以上、「ある程度の操作」は許容されるべき、というものです。

だからこそオリコンが「我が社のチャートは公明正大、何の曇りもないチャートなんです」と言って、個人に訴訟を起こしたことには違和感を持っています。「うちのチャートは歴史があって一番便利、要するにそれが信頼のおけるチャートなんですよ」的な大人な立ち位置でいれば良かったのにという部分がある。そういうことも踏まえた上で取材原稿読んでもらえれば。



それでは以下、取材原稿です。

●小売店(オリコン対象ではない) A氏

※言及したオリコンの時期:約15年前〜現在

――今回の一件、どうご覧になってます?

A氏:オリコンの数字が「統計的手法を元に出てきたデータに人為的な操作を加えて出てきた推計値」ということは歴然たる事実ですし、関係者も否定しないでしょう。でも、僕は「予約」がカウントに入っているという話は聞いたことないですよ。

僕が勤めている会社ではオリコンは立派な「指標」になってます。実店舗での感触とオリコンの数字の間に「えっ?」と驚くような大きな差があるということはほとんどありません。予約者が多そうな商品のランクが異様に上がるというケースはまれですし、そうした差異がジャニーズに集中しているということも一切ないですね。

もし店側で「予約数と実売数の合計」を報告するというのであれば、わざわざ「仕入れ数から減算」するなり、「実売数に加算」なりして報告しなきゃいけません。お店によっては内金を全額支払ってもらう形の予約を「売上」扱いで処理するところもあるみたいですが、基本的に「入金が終わっていないもの」を売上として計上することはPOSのシステム上絶対にできないんですよ。だってPOSって「レジ」なんですから。あれが売上管理のすべての礎です。お金をもらっていない状態で「売上」を操作するということは100%ないですね。

オリコンは調査対象店のリストを公開してますが、もし「予約」をカウントしているんだったら、あのリストにあるお店の全店舗が「仕入数」「予約数」「実売数」を報告していてオリコン側で合計処理を行っている、ということになる。だとすると「ジャニーズ以外で予約が多いアーティストも異常値が出ていないとおかしい」ってことになるんです。

例えばアイドルですね。ハロープロジェクトのファンは「イベント券目当ての空予約」がとても多いんです。一人でたくさん予約することでお目当てのイベント券が手に入りやすくなる。無事手に入ったらあとの予約はキャンセル、みたいなことは日常茶飯事です。予約の数値が入っているのなら、こういう特殊なアーティストのランキングが上がってこなければおかしいわけです。でも、プラネットやサウンドスキャンとランキングを比べたときにそういう話は聞かない。


――ジャニーズは特別扱いされているわけじゃないんですね。

A氏:端的にいうと、ジャニーズファンにはジャケット違いの商品や限定盤などバージョン違いの同商品を複数購入する傾向があるんですよ。オリコンの場合それらを合算するので必然的にランキングが高くなる。例えば、TOKIOのシングルはほとんどが「限定盤」「通常盤の初回仕様」「通常盤の通常仕様」の3形態、場合によっては限定盤が2種の4形態で発売されています。 コールセンターの担当者に聞いたことがあるんですが、店舗に「通常盤の通常仕様を発売日に入手したい」と問い合わせしてくるお客は圧倒的にジャニーズファンが多いそうなんです。もっとも、一部エイベックスのアーティストでもこういうことはあるみたいですけどね。

ジャニーズファンはオリコンの仕組みもよく知ってますから、一部の熱狂的なファンは「オリコンの調査対象店で買ってランキングあげよう」みたいな共通認識を持っています。熱狂的なファンが発売日に大挙して対象店に押し寄せて複数枚購入していく。ジャニーズの数値が上昇するのは当たり前すぎるほど当たり前ですよね。むしろ、それこそが「業界関係者の常識」ですよ。


――それは意図的な「ランキングの操作」ではないと?

A氏:つまりね。「業界関係者の常識」というのは「オリコンの数値は工夫次第で変動させられる」ということなんです。ここのところがポイントなんですが、「どうやってプラス方向に作用させるほうにファンを扇動するか」というころが重大テーマなのであって、「オリコンの数字はオリコン社内の人間の手によって意図的に捏造されている」ということではないんです……まあ、多少はやってるのかもしれないですけど。でも、僕から見て「明らかにこりゃ変だ」というようなケースはほとんど覚えがありません。ジャニーズであろうとB'zであろうとね。

だからこの問題を僕の視点から見たら、オリコンの数値すべてに予約数が含まれているとは考えにくい。もしかしたら多少は含まれてるかもしれないけど。あと、ジャニーズ絡みの数値は実際の市場より高めに出ている可能性は極めて高い。でもそれは要するにオリコンの「捏造」ではなくて、システムを知っている熱狂的なファンが作り上げた「現象」なんです。オリコンの数値を盲信するのはバカだと思いますが、「オリコンは捏造しているから信用できない」と言ってるやつもバカです。「都市型チャート」としては十分参考になる値ということですね。


――オリコン側が「チャートの信頼性」を殊更に主張しているのも十分理由があると。

A氏:オリコンからすれば、チャートの作成方法というのは丸秘中の丸秘なんです。だってチャートの作成方法を公開してしまうと「客を扇動して自分たちの思ったとおりの数字を出す」ってことがきわめて簡単にできますからね。当然複数購入されたときに「○枚以上の複数同時購入は弾く」みたいな指標は内部で持っていると思います。この数字がわかっちゃうと「○−1枚買えばいい」ということになってしまいますから。

17〜8年くらい前かな。オリコンウィークリーに確か「オリコンができるまで」みたいな1ページの漫画が載りました。そこではランキングができるまではファクスと電話で集計して、最後に秘密の計算をしてチャートができる、と書かれてました。秘密の計算については「企業秘密だから」と明らかにされてませんでした。当然その時代は今は違います。オリコンが公開している対象店のPOSデータからオンラインでもらっているということは事実としてわかりますが、じゃあその数字を何倍してどう計算すればオリコンが発表する数字なるのか、ということはブラックボックスになってます。ただ、僕はその計算方法がブラックボックスであることで担保される公正さ、というのもあると思ってるんです。以前はどこの店で調査しているかすら明らかにしなかったわけですし。

これは都市伝説と言ってもいいのかもしれませんが、まことしやかに言われていた話としては、以前はオリコンの推定ポイントって10枚単位だったんですよ。オリコンでは、調査対象店全店の中から「市場占拠率10%」になる組み合わせを4通り組んであって、その4パターンを毎週適宜使い分けている、って話を噂で聞いたことはあります。


――もう1つの論点として、昔はどうだったのか? ということがあると思いますが。

A氏:オリコンの調査用紙を見たことがあるのは20年近く前ですね。その頃は電話じゃなくてFAX送信でした。 確かに、あの形式ではウソ数値を書いてしまえばいくらでも工作はできます。 あれ、出荷数(店にしてみれば仕入れ数)を書いていたのか実売数を書いていたのかわかんないんですけど……「送りつけ商品」がいくらあっても実売を記入して返答していれば全然問題ないんですよね? このときは僕はこの業界にいたわけじゃないのでちょっとわからないんですよね。


――この問題を受けたネットの反応についてはどう思いますか。

A氏:1つ気になったのはこのブログの記事ですね。これは明らかに事実誤認だと思います。本当にすべて出荷数で決まっていたのならば「大した売上のない商品」は、送りつけられた店は2週目以降発注ゼロになりますし、後から発注する店は小規模店や特販ルートなど特殊店だけになる。これらはほぼ調査対象外ですから。となると、発売週に9割近くあるいはそれ以上の売上が集中する、ということになります。ランク下げるどころか、下手をすると50位圏外でランクアウトになるという結果になると思うんですよね。実売でやってるサウンドスキャンやプラネットとの差は今どころじゃなくなります。

ビクターとか東芝とかは僕の記憶が確かなら8年前くらいまで「送りつけ慣習」というものをやってました。ちなみに、ビクターは『SP』と呼ばれており、東芝は『オートサプライ』と呼んでいましたね。中にはとんでもない数量送りつけられてる商品もありましたけど、そういう商品が上位に出たことはなかったですね。

だから、そういう状況証拠的な部分から検証すれば「出荷枚数そのまま」がランキングに反映されているわけではないと思います。もし、オリコンの調査対象店勤務だったのならわかるんでしょうけど、そうでない人にはそれなりの大型店勤務でない限りブラックボックスなのではないでしょうか。

僕は小売店の中では非常に大きな企業にいたものですからわかるのですが、うちの会社で売れた数に「うちの会社小売業界における市場占拠率」から100%になるように掛け合わせたときの数字(註:市場占拠率が10%なら10倍、20%なら5倍、25%なら4倍、33%なら3倍ということ)が、オリコンの発表する数字と合致するケースは何度も遭遇しています。その意味ではオリコンが出している数字は、まったくデタラメなんてことはなくて、数字ベースでもそれなりの裏はあるんですよ。


――オリコンが行う「操作」ではないですが、レコード会社による「買い取り」についてはどうですか。

A氏:買い取り工作はあると思いますが、僕は買い取り工作って焼け石に水だと思ってるんです。オリコンにしろ、ほかのところににしろサンプリング調査ですから。例えば、シェア10%のサンプルを取って10倍して算出しているのであれば、対象店を完全に把握すれば、買い取り枚数の10倍の枚数をチャート上に計上できる計算になります。もっとも今は対象店も広がってるしオリコンではせいぜい3倍〜5倍が関の山でしょうけど。

シングル5000枚で500万円といいますが、これだけ投下すりゃうまいこと店を選んで成功したら1万枚〜2万枚くらいは水増しできるでしょう。だいたい30位近辺をうろうろしていたものを5位6位あたりに放り込むことができます。あとはゼロベース(ランク外)のものを10位くらいに放り込むこともできます。

1000枚100万円で、2000枚〜4000枚くらい水増しすれば、50位あたりのものをベスト20くらいには放り込めます。テレビや新聞に出稿して大衆を扇動してこれだけの枚数を動かすのは難しいですよ(笑)。もっとも、オリコンの順位だけ上がっても今はあんまりアナウンス効果もないんですが……。 どちらかといえば、オリコンの順位獲りって今は主に広告代理店とテレビ局対策のような気がするんですけどね。


●津田コメント
小売店の立場から「オリコンチャートは十分信頼のおけるチャートだ」とする意見ですね。「予約」の部分はかつてオリコンが「出荷」チャートだったのかどうかを検証する上で重要な論点を含んでいるように思います。10年くらい前にCDショップで働いていたというk_turner氏からの反論も期待したいところですが……。(追記)k_turner氏による反論が掲載されました。こちらも非常に興味深い内容なのでご一読することをオススメします。

●元小売店(オリコン対象店)B氏

※言及したオリコンの時期:約18年前

――平成元年頃小売店に在籍されていたということですが、その頃のオリコンチャートってどうだったんでしょう?

B氏:オリコンのチャートが操作可能なんてことは、レコードショップに在籍していたことのある人ならみんな知っている事実ですよ。チャート集計店一覧リストを手に持ってやってくる「CD買占め隊」の連中をさばいたことのある経験は、少なくとも僕と同世代以上のディーラー経験者ならゴロゴロいるんじゃないかな。

問題はこういう行為をどう捉えるか。オリコンではなく、チャート順位を上げたいメーカーからの回し者がやったことだとしても、虚偽は虚偽だよね。もちろん、オリコンに責任はないとする考え方もあるだろうけど。


――1つの論点ですよね。昔のチャート集計はどうだったのかというところは。

B氏:僕がチェーン店にいたころは、オリコンチャートのための報告は地区の事務所がかなり適当な数字をあげていたと記憶してます。なにしろPOSもない時代だったし、何よりいろいろ報告しなくちゃいけない集計データが多かった。自社内で上に提出する報告はデタラメを書くと怒られるのできちんと書いていましたが、それ以外の集計データなんて適当もいいところだったんじゃないかな。


――もう1つの争点になってる「予約を含めていたかどうか」についてはどうですか。

B氏:平成元年頃の記憶だから、曖昧な部分もあるんですけど、当時予約分というのは店頭から下げて「取り置き」していたため、初回発注数から店頭に出した分を引き算して「売上げ実績」としていたはず。だから、オリコンが「予約分を含めたことはありません」というのは実態に即していないんじゃないかな。


●津田コメント
昔のレコード店からオリコンへの報告がどのようになっているか、また当時「予約」がどのように扱われていたのかという重要な証言が含まれていると思います。

●元音楽チャート会社 C氏

※言及したオリコンの時期:約10年前〜

――今の音楽チャートを語る際に踏まえておくべき基本的なことってありますか。

C氏:要するにレコード店すべてにPOSがあって、そこで売れた枚数をチャートにする形式であれば今回みたいな話は出ないんですよね。対象店が限られている以上、「実売に係数をかけた比例値」にならざるを得ない。


――チャートが推計値になることの弊害って具体的にはどういうことがあるんでしょうか。

C氏:端的にいえば、集計する期間が長くなればなるほど売上が実売よりも大きくなってしまうという問題があるんです。発売から間もない状態で、いっぱい売れているうちは正確なんですけど、期間が長くなると累計の数字はどんどん実態と離れたものになっていってしまう。うちはPOSで報告する方式ですから、純粋に何枚売れたかというところは操作できない。ただ、それに一定の係数をかけて推計するというやり方なので、お店の入荷が少ないものがたまたま数枚売れただけでそれが「全国的には何百枚も売れた」ということになってしまう。サンプリング調査の弊害ですね。オリコンはこのことを多分よく知っていて、100位以下に落ちたもの関しては累計に加えないんですよね。100位以下まで落ちちゃったものの数字を累計に加えると実態と離れてしまいがちなことをよく知っているんでしょう。まぁこれは当時の話なんで今がどうなっているかは知りませんが。

累計数字はいろいろおもしろい話があって、レコード会社の人と話をすると累計数字がレコード会社のトータルの出荷枚数より大きくなってたなんてことも稀にありました。ただこれはうちの会社がそうだっただけでオリコンでそういうことがあったかどうかはわからないです。


――今回の事件の大きな争点になっている「オリコンによる意図的なチャート操作はあったのか」という点についてどう思いますか。

C氏:操作があったかなかったかでいうと、あったと思いますよ。普段はオリコンとプラネットってそんなにチャートは変わらないんです。でも、たまに明らかに結果が違うものがあった。明らかに違ったのはやはりジャニーズ系ですね。

それ以外で印象的だったのは宇多田ヒカルのファーストアルバム。あれ、ちょうど浜崎あゆみのアルバムとぶつかったんですよね。プラネットのチャートは2週連続宇多田ヒカルが1位だったんですが、オリコンは1週目が宇多田、2週目浜崎というランキングになったんです。あれは不可解でしたね。


――やはり、世間でよくいわれがちなジャニーズ系、エイベックス系が強いということなんでしょうか。

C氏:不可解という意味でいえば、プラネットだと40〜50位くらいのシングルが、オリコンだと20位台になってるみたいなことはよくありましたね。急上昇して20位台に食い込むとチャートの横にある赤丸欄に掲載されるので、ある種あそこが「広告枠」的になっていたんじゃないかと思いますね。ただ、それがレコード会社による買い取りの成果なのか、オリコンとレコード会社による協議の上の「調整」なのかは僕にはわかりませんけど。


●津田コメント
オリコンとは別のチャート関係者による貴重な証言です。標本調査の限界や、ランキング的に変な動きをした商品が具体例として出ているので、オリコンチャートがどのようなものかわかりやすいですね。

●元レコード会社 D氏

※言及したオリコンの時期:約25年前〜現在

――今回のオリコン問題についてお聞きしたいんですけど……

D氏:あんま詳しく答えられることはないよ。具体的な手段とかじゃなくて事実関係ぐらいかな。


――じゃあ、端的にお聞きしますが、レコード会社による買い取りによるチャート操作、もしくはオリコンとレコード会社による恣意的なチャート操作ってあったんでしょうか。

D氏:買い取りがあるのは当然として、レコード会社のプロモーターはオリコンに行って順位を調整するとか普通にしてたよ。ただ、「調整」には限界がある。50位のものを1位にするとかあからさまなことはさすがにできない。だからそれこそ2位のものを1位にするとか、40位のものを20位にするとか、100位圏外のものを100位以内に入れるとかだね。そういうのは昔は日常茶飯事的なものとして行われていたし、今だって多少はあるんじゃないかな。


●津田コメント
これはレコード会社の「買い取り」(オリコンに責任なし)だけでなく、レコード会社のプロモーターがオリコンに行って順位の「調整」を行っている(つまり、オリコンもグルになっている)という、ある意味で衝撃的な発言です。これが、真実であれば「かつては」なのか、「今でもやっているのか」ということになりますが……。

●音楽業界人(レコード会社勤務経験あり)E氏

※言及したオリコンの時期:20年前〜現在

――オリコンのチャートの操作があるかないか、という点で話をすると、よく「昔はあった」ということを言われますが……。

E氏:いわゆるレコード会社の「オリコン対策」でいえば、今でも普通にやってますよ(笑) 典型的なのはコンフィデンスへの広告出向ですね。広告を出せば順位が上がる。ただ、それで上げられる幅はそんなに大きくない。「広告入れたんだからトップ10に入れろ」なんて無茶なのは通用しません。100位圏外のものを100位以内に入れるとか、「右ページ」と言われている100位以内のものを「左ページ」といわれている50位以内に入れる作業とかですね。


――よくいわれる「買い取り」についてはどうですか。

E氏:もちろん「買い取り」はかなりの確率で行われていますよ。今は「チャート対象店」が明らかになってますから、レコード会社としてはとにかくそれらの店でPOSを通すことが至上命題になってる。僕が知ってる一番凄い買取はNというT社所属のバンドかな。1万枚の買い取りをしてました。Rというバンドが売れたのでそれの税金対策ってことだったらしいですが……。このバンド、さらに凄いのは収録曲減らして定価下げれば、同じ買取金額でも倍買い取れるということで買い取ったということですね。

探偵ファイルの記事でユニバーサルの買取表がアップされて話題になりましたが、あのときは「各店舗で○枚購入しろ」という指示書でしたが、現在のオリコンの集計はチェーン店舗のまとめたPOSデータを送信しているだけなので、今は足を使わず、本部一括で買取作業が行われているんじゃないですかね。最近だと、レコード会社の方から小売店に「買い取りやってくれ」なんて依頼もあります。しかも「卸価格を下げさせてくれ」というおまけ付き(笑)


――やはりそれだけ「買い取り」は常態化してるんですね。

E氏:誤解されがちですけど、「買い取り」は、あくまで仕組みを知ってるレコード会社がこれは勝手にやってることなんで、オリコンは関係ないといえば関係ない。ただ、いわゆる「チャート操作」のミーティングはオリコンとレコード会社でよくやってたのは確かですね。僕は参加したことないけど、取締役がしょっちゅう行ってました。あとは、特定の作品を1位にするために事務所やレコード会社が話し合ってる……一種の談合ですね。そういうことは常に行われてますよ。まぁ、それでもCDTVのチャートに比べればオリコンはまともですけどね……。


●津田コメント
今回取材した中で一番過激な内容かもしれませんね。「昔」「今」の問題をすっ飛ばしかねない、いろいろ重要なポイントが含まれていると思います。真偽がどうなのか、という点については読者の方の判断にお任せします。

●元音楽制作会社 F氏

※言及したオリコンの時期:約15年〜5年前

――制作会社だとオリコンとの関わりはどうしても深くなりますよね

F氏:うちの会社には邦楽セクションがありまして、そこでは担当者がオリコンに連絡を取り、上位に入れるよう働きかけることは日常的に行なわれてましたね。


――そういう働きかけって実際どうなんですか。レコード会社や制作会社がたくさんあってそれが全部そういう働きかけをやっていたらあまり意味がないように思いますけど。

F氏:それはそうですね。ただ、すべてではないですけどそれなりの確率であまり売れていない自社の商品がオリコンでは上位に入るということは珍しいことではなかったです。


――なんでそういうことが常態化しているんでしょう。

F氏:要するに制作会社の社員……少なくともうちの会社の社員にとって、オリコンへの働きかけというのは「それも仕事の一環」なんですよ。それをやることで担当しているミュージシャンに対する「これだけやっているんだぞ」「上位にきたからこれからだ、がんばろう!」的な演出ができると。オリコンのチャートというのは元からそういう側面があって操作は可能だということです。ただ、今にして思えば、レコード会社や事務所のアーティスト担当者にとって、売上実績とは別にチャートの上位に入れるよう交渉することは、単行本編集者にとっての各メディアに書評を掲載するよう働きかけるようなものだったのかもしれません。ようするに「自己満足」みたいな部分もあったんでしょうね。

●津田コメント
最後の部分の感覚は出版業界に身を置いている僕的にはとてもよく理解できるものです。この問題で結構重要なポイントで、要するにレコード会社や事務所からオリコンへの働きかけが「常態化」しているのなら、もはやそれは単に広告枠、スペースの奪い合いみたいなもんで、こうなるとチャートが「操作可能」とかいうよりも、むしろオリコンからすれば「この前はあそこのアーティストの順位上げたから、今回はこっちで」みたいな「持ち回り」みたいな感じになっていたかもしれませんね。


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