2009年08月30日(日)

高木さんからの指摘について

高木浩光@自宅の日記 - 津田大介氏の杜撰な評論 その1

上記指摘について簡単に答えさせていただきます。
自分の発言の趣旨は「サイバー犯罪で法律の境界線上にあるものは通常の法適用では逮捕することが難しいが、そういうものも著作権侵害であれば引っ張ることができやすいし、ある種別件逮捕に近い形で犯罪者を抑える」ことが行われることがある。ということです。

ただ、Podcastの書き起こし見ると黄色の部分の後に「本来それは著作権侵害ではなくてもっと悪いことしてるよね」としゃべってるから、「著作権侵害ではなくて」という部分が誤解招くなとは思いました。あのケースでは「著作権侵害よりも情報漏洩で社会的に大きな問題が生じている」ぐらいの意味です。

話を戻すと、あの事件の場合は Winnyの情報漏洩ウィルス作成者に対して何か社会的制裁を与えなければ沈静化できないとする警察の意向は多かれ少なかれあったと思う。あのケースでは人格権侵害が罪を明確化するときに便利だったという話。だから別に事実を「取り違えて」いるわけではないつもりです。

「ありもしないことを憶測で」の部分について言えば、そもそも「著作権はグレーな領域で黒でも白でも裁判官の解釈で判断を変えられる領域が多い」という見解は著作権審議会で専門の学者からも発言されているし、現在のフェアユースの議論もそうした状況を踏まえたものです。著作権に詳しい法律家に話を聞いても、違法行為者をとりあえず「挙げる」ためにある種別件的に著作権侵害が利用されていることは存在するという話は聞きますし、それに対して問題意識を持っている人もいます。僕個人もそうです。

という背景を踏まえた上で「Podcastでリスナーが著作権や日本の裁判制度などの知識が薄い」という前提のもと、ウィニー裁判の話を枕にして、わかりやすくざっくりとした解説をしたつもりでした。専門性の高いイベントだったり、それこそ僕が連載を持っている日経産業新聞のコラムならもう少し細かく書いたでしょう。いずれにせよ初心者向け解説をリアルタイムの音声で行う過程で(少なくとも高木さんに)誤解を生む余地があったのは認めますが、それで「事実誤認に基づいて適当なことを吹き回ってる」と言われると非常に残念です。高木さんからの指摘を謙虚に受け止めてもなお、「事実誤認」をしていたとは思えないので。

とはいえ、確かにこの裁判の持つ社会的な意味は確かに大きいと思います。「この事件における著作者人格権の意義についての論評さえ期待されるところ」というのは確かにその通りだと思うので、どういう形になるかはわかりませんが、何かしら検証や取材をしたいと思います。なので、僕としては「ありもしない事実を流布して人々に錯誤した不満を募らせるようなことをした」つもりはありませんし、ほかの法律家や専門家の方がどういう見解になるのか、というのは気になるところです。

別件のtwitterアカウントのところの不正アクセス禁止法の指摘はありがとうございます。今後気をつけます。

| 著作権 | この記事のURI | Posted at 12時30分 |

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