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ナタリーってこうなってたのか 表紙

ナタリーってこうなってたのか

大山卓也 著 / 双葉社

ISBN:978-4575307009 / 版型:18.2×12×1.2cm
ページ数:184ページ / 定価:1080円(税込)

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2005年07月12日(火)

続・iPodの音質は「悪い」のか?

【藤本健の週刊 Digital Audio Laboratory】iPodに最適なMP3を作る その1〜 MP3エンコーダにまつわる噂を検証 〜(AV Watch)

AV Watchの名物連載の1つ「藤本健の週刊 Digital Audio Laboratory」の藤本健氏より先日書いたiPodの音質は「悪い」のか?というエントリーに関して問い合わせを頂いた。で、それに基づいた記事がAV Watchにアップされた模様。

記事自体に対して反論みたいなことをするつもりはないのだが、藤本氏はあのエントリーで俺が言いたかった部分とは別の方向を見ているようなので、フォロー・補足の意味で上記記事に対して適宜引用しつつ言及しようと思う。

「音楽配信メモ」の津田大介氏に問い合わせると、最も主張していたのは、「iPodのイコライザ設定をRockにすると、低音が強調されすぎて、音が割れてしまう。これは製品として問題である」という点だった。

これは要するに「iPod(iTunesでエンコードしたMP3ファイル)に対する音質的な不満があるというよりも、むしろiPodのアウトプットに問題がある」という意味。iTunesでエンコードしたMP3ファイルをそのままiTunesなりWinampで聴く分には多少EQで低音を強調したところでiPodで起きるような低音割れ現象は起きない。なのに、iPodに転送して低音をブーストするEQを選択すると音割れ現象が起きてしまう。ソースには問題がないのに、出力の部分で(しかもプリセットの範囲内の使い方で)こういう不愉快な音割れ現象が起きてしまうことが、オーディオ製品として一定のレベルに達してないんじゃないの? ということが言いたいわけだ。実際、iTunesで作ったMP3をいくつかほかの携帯音楽プレーヤーに転送して低音強調系のEQ設定で聴いてみたが、iPodのように音割れするようなプレーヤーは皆無だった。となると、問題なのは「ソース」ではなく、再生機器にあるのだと俺は考える。

ただし、前回の記事で紹介したように低音強調系のEQにさえしなければ、iPodは音割れすることは少なく、音質的に比較的自然な出音が楽しめるプレーヤーだとは思う。ある程度そういった特性を知っていれば、音割れ現象は回避できるわけでその意味では「致命的」とまでは言えないのかもしれない(が、個人的にはもう少し低音出した状態で聴きたいと思うから不満があるわけだ)。デコーダに問題があるのか、単にヘッドホン端子の出力部分の問題なのか、あるいはほかに原因があるのかはわからないが、個人的にはそこまで修正が難しい問題だとは思わないので、アップルに対してはこれを「問題」と認識してもらって早く修正してもらいたいなーとは思う。もちろんこれは個人的な希望だよ。

ちなみにこの前の記事で「"JAZZ"に固定しろ」と書いたのは、それが最善な策であるという主張ではなく(最善な策は曲ごとにもっとも自分が気持ちよく聴けるEQ設定を見つけて変更することだ)、ロックなどのジャンルの曲をたくさん聴いたとき、JAZZの設定であれば音割れが発生することが少なく、自然に聞けることが多かったという俺や友人の経験則であり、加えて言えば俺の音質の好みでしかなかったりもする。ただ、この方法を教えた人にはほぼ好評ではあったので、この「192Kbps&JAZZ固定」はある種のメソッドとして(現状では)有効だろうという確信もある。もちろん、好みじゃない人はほかのやり方を見つけてくれればいい。オーディオってのはそういうものだし、普段EQをかけずに音楽を楽しむという藤本氏がこの提案に対して「半信半疑」と書いたこともまったく正しいと思う。

個人的には、イコライザは基本的にいじらない主義なので、気にしていなかったが、周りの人に聞いてみると、「低音と高音をブーストさせて聴くのが好き」という人が結構多い。

まぁロックやテクノはドンシャリで聴くのが気持ちいいという人が多いのは事実。どんなマスタリングエンジニアだって、細かい音質の調整はモニタースピーカーだけでなく、民生用のちゃっちい(ドンシャリになりがちな)ラジカセでもモニタリングして調整するわけで、この手のユーザーの利便性を追求したオーディオ機器やiTunes、iPodに対して原音志向を前提にして話をするのはちょっと無理があるのではないかとも思う。

あと、気になったのは「ビットレートは128Kbpsで十分」という部分。

音質の良し悪しは、16kHz以上の高域がオリジナルに近い形で出ているかが決め手のひとつとなっていたが、128kbps以上に設定しても、あまり大きく変わりがないので、こうした結論を出したのだ。確かに、192kbpsさらには256kbpsとビットレートを上げていくと、より高い音が出るのだが、必ずしもオリジナルに忠実な音が出ているわけではない。まあ、先ほどのiTunesほどではないが、やや変形された形での音となる。

確かにグラフだけ見ればそうだが、iTunesで作った128KbpsのMP3と192KbpsのMP3では、明らかな音の違いが感じ取れると俺は思う。ハイハットの音とかを注意して聴けば多くの人が違いは分かるはずだ。もちろん、ヘッドフォンがショボかったりすればわからないだろうが、ER-4SSHURE E2Cのような密閉型のヘッドフォンを使えば、違いもわかりやすくなるはずだ。

もっとも、ビットレートを上げれば当然ファイルサイズも大きくなるわけで、128kbpsを256kbpsにすれば、ちょうど倍のサイズとなる。つまり、iPodなどのプレイヤーに収録できる曲の数が半分になるわけだが、それに見合うほどの高音質化ではない、ということだ。実際に音を聞いた印象では、128kbpsを超えても、ほとんど違いが感じられなかったため、128kbpsがベストという結論を出していた。

ここが一番大きなポイントだと思うのだが、藤本氏には「iTunesでリッピングした楽曲は必ずiPodだけで聴くわけではない」という視点が欠けているのではないかと思う。iTunesでリッピングした楽曲は基本的にハードディスク内に溜め込んでおくものだ。特に音楽CDを何百枚、何千枚も持っているような人は、iTunesで手持ちのCDをライブラリ化してしまえばいちいち聴きたいCDを探す苦労が大幅に軽減される。こうしたライブラリ化のメリットでiTunesをメインの(あるいはカジュアルな)リスニング環境にしている人は多い。有名どころでは俺がインタビューしたアーティストの坂本龍一氏や、音楽評論家の小野島大氏などは、既にそういうリスニングスタイルになっている(むろん、彼らはきちんとしたオーディオシステムでCDから音楽を聴くという行為を完全にやめているわけではないのでその点は誤解なきよう)し、音楽評論家の萩原健太氏もかなり早くから所有するCDをMP3化することのメリットを訴えていた(萩原氏はPC Japan誌で非常に濃いMP3関連の連載記事も執筆していた)。もちろん、そうしたアーティストや音楽評論家だけでなく、多くの音楽フリークが手持ちのCDをiTunesでライブラリ化して楽しんでいる。

iPodの容量はまだ60GB程度だが、パソコンのハードディスクはここ数年で非常に価格対容量比が上がった。あくまでパソコン内にとどめておくのであれば128KbpsのMP3を192Kbpsに上げたところで容量的に大した負担にはならない。しかもMP3は非可逆圧縮。MP3化したものを「長期保存」しておきたいのであれば、ギリギリまで音質に優れたビットレートまで上げて保存しておきたいと思うのは人情だろう。もっと言えば、20GBくらい容量があるiPodであれば、128Kbpsであろうが192Kbpsであろうが十分な曲数は収録できる。シリコンオーディオのメモリが128MBとか256MBくらいしかなかった時代ならともかく、今時「収録できる楽曲数を稼ぐためにビットレートを低めに設定する」という言説にどれだけ説得力があるのだろうかと個人的には思ってしまう。

もちろん、こういうことを書くと「しょせん圧縮されたMP3ごときで何を言ってるのか」「しょせん携帯プレーヤーじゃん。そういうこだわり自体が無意味」とかそういう突っ込みをしてくる人はいるが、利便性を第一に追求したiTunesという環境を選択した中でどこまで音質にこだわるのかということは決して無意味ではない。また、オーディオ機器開発の現場でもはやMP3もバカにできないものになっている。実際にとある国内オーディオ機器メーカーに取材したときには「昔はMP3なんて見向きもしてなかったが、最近きちんとMP3を研究したら、MP3もDSPの設計や出力のさせ方でCD並みに音質が良くなる。これは意外だった」という答えが返ってきた。オーディオ機器メーカーにとって今はピュア・オーディオ的なニーズは企業として「金」にならない。そんな中、今消費者の中で圧倒的に普及し始めているMP3にターゲットを絞って音質改良を重ねていこうとするのはビジネス判断として確実に正しい。

LAMEだって数年の開発期間を経て、ここまで音質が良くなってきたのだ。もはや「そもそも圧縮音声なんだから音質を云々するのがおかしい」というような言説自体が意味を失っているのではないだろうか。だって、俺らが語ってるのはピュア・オーディオの世界の話じゃないんだしね。ピュア・オーディオじゃなくても、できるだけ良い音で聴きたい音楽ファンってのは確実にいるのだ。そしてこういう「デジタルでパソコンに取り込んだ音楽の音質を良くしていく」ということの延長にエイベックスの高音質化プロジェクトや非圧縮音声の配信などがあるのだと俺は思う。

もちろん、この連載はまだ1回目で導入に過ぎない。2回目以降、藤本氏によってiPodに最適なMP3の高音質化のノウハウが解説されていくはずだ。そういう意味でも今後が注目される連載ではないだろうか。

だが、単にエンコーダの音質を上げるというだけならLAME使えばいいだけの話だし、Macintochであればこちらなどで提供されているiTunesのエンコードをLAMEで行えるスクリプトを導入すれば解決してしまう問題なような気もする。そしていくらMP3エンコードの質が上がったところで、低音音割れに代表されるiPodの出力問題は解決できない。

あーだこーだ俺もこの問題について言っているが、自分のMP3ライブラリは、悩んだ挙げ句最終的にはWindowsのiTunes内蔵のMP3エンコーダ(192Kbps)でライブラリを構築してしまっている。確かにLAMEは音が良いのだがエンコードに時間がかかるので、5分くらいで1アルバムをMP3化できるiTunesの便利さにはかなわないよなーとなってしまうのだ。あとは何か良いソフトがあってiPodに最適なMP3ができたとしても、それがiTunesと簡単に連携できないようだと厳しいんじゃないかという懸念もある。iTunesとiPodが素晴らしいのはそれこそパソコンの知識とか全然ない女の子でも使える優れた操作性にあるわけでね。その優れた操作性に一度慣れてしまった人はプロセスが多くなることに耐えられないんじゃないだろうか。そういう意味では現状音質もiTunesの利便性も求めたいという人はMac miniでも買ってiTunesとLAMEエンコードスクリプトを使うという方法しかないだろう。あとは「LAMEのコマンドラインオプションを試すことが生き甲斐です」みたいなギークが、iPodに一番なじむオプションを見つけてくれればいいね!

あと、作成されるファイルの汎用性にこだわらないのならば、MP3じゃなくてAACにした方が(iTunesのエンコーダを使う限り)音質は良いので、そっちをオススメしておきますよ。

(追記)
RedDustRec: weblogでも藤本氏に対するツッコミが。

・再生環境(主にスピーカーと音量なんだけど)の違いはマスタリングで吸収できると思えない。あっちを立てるとこっちが立たず、ってジレンマだろう。 BOSE みたいに再生システムに補正機能を持たせるのが一番賢いやり方だと思う。
・みんな高音と低音をブーストしたのが好きっていうのは、趣味の問題もあるけど、聴く音量が小さいと耳が高音と低音に対する感度が鈍るから、っていうのと再生機器がそれほどワイドレンジじゃないっていうのと。まあ、合理的な理由もあるかと。

これについて言うと、日本の場合、住環境の問題も大きいような気がする。小さい音で常にLOUDNESSオンみたいな。それがもうデフォルトの耳になっているような。

「聴く音量が小さいと耳が高音と低音に対する感度が鈍る」という話はCCCDのときにもあったなぁ。なんかCDSが変なフィルタ通しているようで、同じ曲のCD-DA盤より-2dBくらい音量が下がるから聞き比べたときに高音の伸びがなくなるように「聞こえる」っていう。あのときにも思ったけど、耳の良さってホント人それぞれで個人差が大きいから、「この音質で十分」とか言い切るのって本当に危険なんだよなーと思った。実は俺は-2dBの差を聞き分けられるほど繊細な耳は持っていないんだけど、それでも192Kbpsと128Kbpsの違いは明確に分かるしなぁ。どっちが良いというより音質が違うんだよね。

藤本氏のWAVE波形で音質をチェックするというのは、昔から彼がやっている方法論で、有効性もあるとは思うけど、dkexさんが指摘してるみたいに別の角度からの検証なり、オーディオ評論家呼んでくるなり、新しいスタンスの音質検証みたいな方向性が見えるといいんじゃないかと個人的には思うね。

| 携帯型プレーヤー | この記事のURI | Posted at 02時22分 |

2005年07月08日(金)

Book Baton来た

ばるぼらさんから回ってきた。

●持っている本の冊数
マンガ・雑誌抜きで200冊くらいかな。

●今読みかけの本or読もうと思っている本
これ↓

400430945XJポップとは何か―巨大化する音楽産業
烏賀陽 弘道


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

3分の2くらい読んだけど超おもしろい。実際のところ、音殺音楽未来形と、Jポップとは何か、この3冊を読めば誰でもいっぱしの音楽業界ジャーナリスト(狭い!)になれると思う。3つが3つとも同時期に書かれていて、扱っているテーマも似ているのに内容のかぶりが少なく、お互いの本が内容を補完しあっているというのは奇跡的というか素晴らしいと思う。音殺おもしろいと思ってくれた人は音楽未来形もこのJポップとは何かも絶対おもしろいと思うので、買うことをオススメしておきます。


●特別な思い入れのある本、心に残っている本5冊(まで)
別冊宝島131 ライターの事情―ボーダーレス化した書く仕事の現場を追う
1冊だけ選べと言われたらこれ。高校時代これを読んでライターになろうと思ったから。

別冊宝島106 日本が多民族国家になる日
ネタばらしをすると、音殺やMやめ(のあとがき)を書く上で実はこの本が一番思想的に重要な役割を担っている。

放送禁止歌
大学生当時、朝方にやったこのNONFIXをリアルタイムで見た俺は勝ち組。この本を読むとデーブ・スペクターに対しての見方がとても変わる。

差別用語の基礎知識
上の本と併せて読むのがいいと思う。

カツラーの秘密
ここ数年買った本で一番おもしろかった。純粋に。


●次にまわすMOK Radio
タクヤさん
実験4号さん
キョウオカさん


あーあとバトンは基本的に答えますが、これ以降振る場合ははてなの方にお願いします。

| 小ネタ | この記事のURI | Posted at 09時11分 |

2005年07月07日(木)

違法WinMXユーザーとRIAJが平均48万円で和解

WinMXでネットに音楽データ、レコード5社と和解(YOMIURI ONLINE)
ファイル交換ユーザー5人、レコード5社と賠償支払いで和解(ITmedia)
国内レコード会社5社、違法ファイル交換ユーザー5人と和解(Internet Watch)

1人平均48万円の賠償金を支払うことと、今後は行わないとする誓約書を提出することで和解したとか。48万円かー。どうせなら賠償金は5万とか10万円くらいに抑えておいて、「残り30万円分はおまえが聴きたいCD買えよ」って強制するような和解の方が良かったんじゃないのかね。48万円分も被害を出させるようなヘビーな共有ユーザーは音楽への渇望自体はあるわけだしさ。金券屋の換金不可にしてその分ミュージックギフトカード買わせるとかこのシリーズを全部買わせる罰ゲームとか(ゲーム?)どうかね。

| ファイル交換ソフト | この記事のURI | Posted at 03時30分 |

2005年06月30日(木)

CCCDとして発売されたBONNIE PINK「Present」がCD-DAで再リリース

笑っちゃうくらいひっそりと。発売日は明日だから今日には店頭に並ぶのかな? HMVでは買えるようになってますね。CCCDとは型番も違うみたい。Amazonでもようやく買えるようになったか。

Presentは最近米iTMSで買えるようになっていたので、9.99ドルで買ってiPodに突っ込みましたよ。リプリントするにしても今更感は強いなー。

だがしかし、Fountains of WayneのB面集がUS盤もCCCDかって話もある(輸入盤もいろいろな種類があって混乱してるみたい)中、CCCD問題は米国でも深刻な問題になってきてますな。今やってる仕事が一区切りついたら、もう一度CCCDに関してはしっかり記事作るなりして問題点を洗い出していこうと思ってますよ。

(追記)
上のFoWの新譜、今日届いたので確認したらAmazonで買えるUS盤は普通のCD-DAでした。日本盤とか、店頭はCCCDばっかりなのでこちらを買うことをオススメします。

ただ、カスタマーレビュー見るとCCCDじゃないか? って書いてあるんだよね。このCDはEMIには珍しくCDの盤面に「Compact Disc Digital Audio」のロゴがあったからほぼ間違いなくCD-DAだとは思う。ただ、これって表記だと「ENHANCED」ってなってるけど、実際に届いたのは違うんだよね。US盤にもいくつか種類があって「ENHANCED」仕様のやつが新しいCCCDなのかもしれない。で、「iPodに落とせない」ってレビューした人にはそれが届いたのかな? ちょっと謎。Amazonに問い合わせした方がいいかもね。

| CCCD | この記事のURI | Posted at 09時15分 |

Grokster裁判の最高裁判決要旨和訳

MGM v. Grokster P2Pソフト配布事件 合衆国最高裁判決(プログラム関連米国判決集)

プログラム関連米国判決集」を運営している井上雅夫弁理士が、Grokster裁判の最高裁判決要旨の和訳を公開。ややこしい話が多いものの、判示事項(a)で示された「著作権保護を通して創作を支援することと侵害責任を制限することにより技術的イノベーションを促進することの競い合う価値観の間の緊張関係が本件の対象である」という部分がこの問題の本質をよく言い表していると思う。

でも、著作権を保護しないことで生まれる創作支援ってのもあるわけでね。また、技術的イノベーションを促進することで成功できるクリエイターだってたくさんいるわけだ。そのあたりまで加味して議論されなきゃいけないんだろうけど、そうすると結局は「バランスをどこで取るか」っていう結論出そうで出ないお茶濁し的ありきたりな話になっちゃうんだよね。ただ、今回の判決で現在の両者の緊張関係とか、力関係とか、今後動いていく方向などが変化するような気はするね。どのタイミングで手打ちするのが、クリエイター、消費者、コンテンツ制作会社にとって一番利益が最大化するのかねぇ。

| ファイル交換ソフト | この記事のURI | Posted at 09時07分 |

2005年06月28日(火)

Groksterが最高裁で敗訴。著作権侵害認定へ

Grokster, StreamCast Lose(⇒翻訳
Supreme Court Rules Against Grokster!(⇒翻訳
Court Sides With Entertainment Biz In Grokster Case (⇒翻訳
Grokster Loses (⇒翻訳
Grokster voting patterns(⇒翻訳
The Supreme Court's ruling against P2P(⇒翻訳

一番下のZDNetの記事は翻訳を通してもかなりわかりやすく今後の見通しが書いてあって参考になる。上の記事で1つだけ読むなら一番下のやつにするといいだろう。

また、EFFもこの判決に対してさまざまな情報をサイトで提供している。こちらのファイル(リンク先PDF)では、各裁判官のコメントが読めるようだ。

日本語で読める記事も出てきた。

米最高裁、P2P企業の法的責任認める逆転判決(ITmedia)
ファイル交換ソフト「違法性問える」 米最高裁判決(asahi.com)
ファイル交換ソフトに著作権侵害の責任・米最高裁判決(NIKKEI NET)
P2P側2社、「著作権侵害の助長行為」解釈を批判(ITmedia/IDG)
P2P 会社には、著作権侵害利用の責任あり(Japan.internet.com)
米最高裁、P2P企業のGroksterらに著作権侵害の責任追求を認める逆転判決(Internet Watch)
米最高裁,PtoPベンダーに対する著作権侵害の責任追及を認める(IT Pro)
PtoP訴訟、ファイル交換ネットワーク側が敗訴--米最高裁で判決(CNET Japan)
連邦最高裁「違法ダウンロードはP2P企業にも責任あり」(Hotwired Japan)
米最高裁、P2P企業の著作権侵害の責任を問う判断(setoh blog)
PtoP企業敗訴判決--音楽業界関係者は好意的な反応(CNET Japan)
ファイル交換は悪と言い切れるか(CNET Japan)
PtoP有罪判決で期待されるPtoPビジネス利用の促進(CNET Japan)

高裁では無罪になったGrokesterが、最高裁で逆転判決。高裁判決はでは「ファイル交換ソフトウェア自身には罪はない」っていう、世界的な潮流の1つとして語られたけどそこからエンターテイメント業界が押し戻したってことか。ある種の予定調和と言えなくもない。

ただ、元々Groksterは高裁で勝ったというもののかなりギリギリの勝利であったことは事実。また、最高裁では高裁判決そのままにはならないだろうという識者の見方も多かった。そのあたりは城所岩生成蹊大学法学部教授が書いた以下の記事に詳しい。

ソニー・ベータマックス判決を見直す米最高裁(NIKKEI NET)
原審差し戻しか?――P2Pソフト著作権侵害訴訟、米最高裁での口頭弁論を傍聴して(NIKKEI NET)

城所氏は上記記事で最高裁における原審差し戻しの可能性を示唆していたが、結果としてはまさに予想通り。「満場一致」でGroksterの責任を認め、原審へと差し戻されることとなった。

裁判の是非はともかく、Winny裁判への影響も気になるところ。上記2つの城所氏の記事はこの問題を理解するのに非常に役立つと思うので、読んでおいた方がいいでしょう。

しかし5年経った今この議論が示唆するものは非常に大きくなっているんじゃないだろうか。5年も経ったのに、ここで議論されているような本質的な問題は棚上げされたままで、コンテンツを取り巻くインフラだけが様変わりしちゃったような気もするね。

個人的に気になるのは“合法”P2Pネットラジオ(メッセンジャー)ソフトであるMercoraがどうなるかってこと。GroksterとMercoraって提携してたんだよね。

今回は映画業界の強い働きかけでこういう判決になった面はあるだろうけど(彼らにも必死になる理由がある)、音楽業界的にはどうなんだろうね。もちろん、基本的にはこの判決は歓迎なんだろうけど、Sony BMGなんかは既にGroksterがらみでこんなことも始めてるしねぇ。MercoraにしてもSnocapにしても、ようやくコンテンツ業界がP2P(P2P的なコンテンツサービス)に対して「潰す」だけの対応じゃなく、合法的な利用の道も探るようになってきて、全体的な流れとしては良い方向に向かっていたと思うだけに、ちょっとやるせない気持ちはあるなぁ。

ま、iTMSをはじめとする合法ビジネスに道筋が付いてきた今は、コンテンツ業界にとって「Napsterの亡霊」ともいえるユーザー主体で著作権侵害が横行してしまうファイル交換ソフトの息の根を止める千載一遇のチャンスなのかもしれないね。……って書いたらまさにドンピシャな記事がITmediaにアップされましたな。

上で挙げた城所教授がこの判決に対してコメント発表してますね。この判決のポイントは「最高裁は著作権侵害を助長するような行為を罰しただけで、P2P技術そのものを罰したわけではない。技術中立性は貫いた」とのこと。ということは、差し戻し裁判では、著作権侵害の助長行為に争点が移るわけだろうが、これはこれでかなり複雑な問題をはらんでいる気もする。

| ファイル交換ソフト | この記事のURI | Posted at 00時33分 |

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