Information
  • 音楽配信メモの更新は終了しました(2002.1.11〜2014.8.23)。

ナタリーってこうなってたのか 表紙

ナタリーってこうなってたのか

大山卓也 著 / 双葉社

ISBN:978-4575307009 / 版型:18.2×12×1.2cm
ページ数:184ページ / 定価:1080円(税込)

▲目次を読む
▲amazon.co.jpで購入


2005年11月17日(木)

11月19日(土)午後 10:15からNHKラジオ「土曜ジャーナル」に出演します

土曜ジャーナル「ネットで変わる音楽ライフ」(NHKラジオ)

実は再放送ではあるのですが。9/24に放送された回の再放送が行われるそうです。今までのラジオ出演より時間長めでいろいろ音楽配信について語ってます。音楽配信がそもそもどういうものかわからないというような人(このサイトの読者でそういう人は少ないだろうけど)にとってもわかりやすい内容になっているので、お時間ある方は聞いてくださいませ。

あーあと、来週末26日(土)の夜はこれに参加します。ゆっくり話せる場所でやるらしいので、お時間ある人はぜひ。

| お知らせ | この記事のURI | Posted at 17時59分 |

Sony BMGはもうだめかもわからんね

ソニーのスパイウェア、政府・軍を含む50万以上のネットワークを汚染(Engadget Japanese)
XCP「rootkit」組み込みマシン、日本は最多の21万台?――専門家が指摘(ITmedia)
SONY BMG、rootkit的DRMめぐり訴えられる(ITmedia)
SONY BMGのrootkit的手法、集団訴訟の可能性(ITmedia)
Symantec、SONY BMGのDRM技術を悪用したウイルス「Ryknos」を警告(Internet Watch)
「穴」を広げるSONY BMGのXCPアンインストーラ(ITmedia)
SONY BMGのXCP削除ツール、批判受け配布中止(ITmedia)
ホントかよXCP日本で21万台(コデラノブログ)
ソニーBMG社CD:感染は50万以上のネットワークに?(上)(Hotwired)
米ソニーBMG:音楽CDのウイルス懸念、訴訟に発展(Hotwired)
ワイアード・コラムニスト「ソニー製品ボイコットを」(上)(Hotwired)
ワイアード・コラムニスト「ソニー製品ボイコットを」(下)(Hotwired)

「公開したrootkit削除ツール自体がかえってセキュリティホールを広げる」という身体を張ったギャグでみんなを和ませようとしたものの、シャレが通じず(ギャグとしてレベル低すぎるよね)消費者からセキュリティ関係者まで、多くの人が怒ってます。

小寺さんが指摘してるように、日本で21万台も仕込まれてるってのはちゃんとした検証が必要だろうけど、むしろこの数字が正しいのならば、ここを突いていくことでもっと大物のネタ(例えばこんな感じのネタとか)が出てくる可能性もあるよね。日本での感染はXCPのrootkitがconnected.sonymusic.comに情報を送信していることから日本で発売されてるConnecteD対応CDにrootkitが仕込まれてるんじゃないの? という指摘も出てきてる。が、名前こそ同じだけどconnected.sonymusic.comは海外のコネクトカンパニーがやってることだと思うので、日本のConnecteDとは関係ない(また、SonicStageやVAIOには入ってない)んじゃないかなーというのが現段階での俺の推測(根拠は俺の勘。いや勘だけじゃなくていろいろあるっちゃあるけどここでは割愛しておく。間違ってたらスマン)。

聞いた話だけど、この問題がこれだけ米国で毎日のように報道されている背景には、シリコンバレーが「ソニー(Sony BMG)憎しで団結している」ということがあるとのこと。まぁユーザーが同意もせずに勝手にマルウェアをインストールして、それが結果としてセキュリティホールを広げるようなことをして、傲慢な開き直りしてるんだから当たり前といえば当たり前なんだけど、これまでシリコンバレーの「悪役」であったマイクロソフトに代わって今月はSony BMGが完全な悪役になっているのだとか。まぁIT業界から見たら音楽業界は明らかにぬるい業界だし、彼らのセキュリティ意識がどんなものなのかっていうことが今回の一見で表面化したわけだから、そういう意識レベルの対立が今回の事件を際だたせているという部分はあると思うね。

日本がファッキンな東芝EMI以外CCCDをやらない方向に動いて、この問題は取りざたされることが少なくなったんだけど、その一方でここ1年くらい海外では(米国も)CCCDが増えていた。個人的にそのことは大問題だよなーと思っていたので、今回の事件はCCCDが根絶される契機になるかもしれないという「逆説的な」意味で「歓迎すべき」事態ですよ。もっともっといろいろなメディアが総力を挙げて叩くべきだし、俺も本気で叩かなきゃいけないなーと思ってる。

やはりCCCDはナンセンス以外の何者でもないし、これは「著作権を大事にする」とかそういうレベルの話じゃないのだ。いい加減CCCD問題で「著作権」を免罪符に使うのやめよーぜ。一番肝心なアーティストたちのほとんどはCCCD導入することがいいなんて思ってないんだから。


(追記)
一連のSony BMG問題をまとめたflashが公開されてますね。こういうのを誘発させるだけのことをやっているってことをどう上が自覚できるかどうかだな。

・シリコンバレーが叩いているのはプライドではなく専門家の社会的責任に対する意識という指摘が。なるほどそれは確かにその通りだ。音楽業界は今まで社会的責任とは無関係なところで商売できてきたから、ネットやITが登場したことでこういう対立が生まれているという考え方もできますわな。

・そしてまた更なる炎上ネタが。

350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/18(金) 01:32:57 ID:0Kb4Ce9d
問題となっているソニーBMGのRootkitだが、さらにまた新たな疑惑が浮上した。 DVD JonがハックしたVLCのソースコードの一部「demux/mp4/drms.c」を盗用した疑いが持たれている。 これが事実なら、GPL違反となるのみならず、”悪名高い”DVD Jonのコードを大手企業が盗用したスキャンダルとなる。

以下盗用箇所に関する具体的な解析結果。

Breakthrough after breakthrough in the F4I case
http://www.the-interweb.com/serendipity/index.php?/archives/20051117.html
Muzzy's research about Sony's XCP DRM system
http://hack.fi/~muzzy/sony-drm/

ソース:
DVD Jon's Code In Sony Rootkit?
http://yro.slashdot.org/yro/05/11/17/1350209.shtml?tid=188&tid=158
DVD Jonとは?:
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20084873,00.htm
関連スレ:
ソニーBMG製スパイウェア、LAMEのソースコードを盗用?
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/news/1131746213/


351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/18(金) 04:43:51 ID:0Kb4Ce9d
自信ないけど、適当に翻訳してみた。

ソニーBMG(以下同社)のRootkit問題が発覚して久しいが、疑惑はとどまるところを知らない。問題は、先頃同社による盗用が指摘された著名なハッカー、DVD Jonのコードに端を発する。

盗用の主な論拠とされるのは、ある関数の制御フロー、すべての定数、 おまけにマジックナンバーで構成された2つの配列までもが、たったひとつの改窮された形跡を除いて完全に一致する事である。極めつけに、その配列の1つにあるrot13暗号化された文字列を復号して現れたのは、 "copyright (c) Apple Computer, Inc. All Rights Reserved."という文字列であった。 解析を行ったMuzzy氏は、Appleが法廷闘争を仮定して埋め込んだものと推測している。

さらに悪いことに、盗用とされたのはVLCの「demux/mp4/drms.c」であった。 ほかでもないAppleのiTunesに採用されているDRM「Fair Play」を回避するためのコードなのである。このコードが何をやっているか、何もしていないのかについては、今後の解析を待たねばならないようだ。

もし盗用が事実であれば、同社はGPLのみならずDMCAおよびEUCDを侵害することになりかねない。

ソース:
Muzzy's research about Sony's XCP DRM system
http://hack.fi/~muzzy/sony-drm/
Proof that F4I violates the GPL
http://www.the-interweb.com/serendipity/index.php?/archives/55-Proof-that-F4I-violates-the-GPL.html#extended
DVD Jon's Code In Sony Rootkit?
http://yro.slashdot.org/yro/05/11/17/1350209.shtml?tid=188&tid=158
DVD Jonとは:
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20086927,00.htm

XCPの技術自体ははSony BMGが開発したものじゃなくてFirst 4 Internetっていう企業に投げたものなわけだけど、組むパートナー間違えたって感じになってるんじゃないのかねぇ。しかし、CCCDの技術作る企業はMIDBARといい、First 4 Internetといい、ロクでもないところばっかだな。

| CCCD | この記事のURI | Posted at 16時53分 |

2005年11月15日(火)

クラシック・ジャズ・ワールドミュージックのサブスクリプションサービス「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」が開始

ナクソス、月額1,890円のクラシック音楽ストリーミング配信サービス (Internet Watch)
ナクソス、月額1,890円のストリーミング音楽配信を開始−クラシック中心に165,000タイトルをWMA 128kbpsで配信(AV Watch)

発表会に出席する予定だったんですが、所用が重なってしまい出席できませんでした。すみません>関係者の方々

それはそうとかなりサービスとして楽曲数もあるし、良い感じ。飲食店とかで使われるケースとかも増えそうね。安いし。多分どこかの媒体できちんと一度は取材すると思います。

| 音楽配信 | この記事のURI | Posted at 23時51分 |

ソニーが通常の小売店とネット通販業者に対して二重価格制で卸す

ソニーのネット業者向け価格に問題=英タイムズ紙報道(Yahoo!ニュース - 時事通信)

15日付の英紙タイムズ(早版)は、ソニーなど電気製品メーカーがインターネット小売業者への卸売価格を街中に店舗を構える小売店に対する価格より10〜15%高くしていると報じた。英国の公正取引局や欧州委員会には、ソニーの価格設定方針について調査依頼が寄せられているという。同紙によると、ネット業者と一般の小売業者に対する価格を変える「二重価格」はソニーが開始し、これに他のメーカーが追随。同紙は、ネットで買い物をする英国の数百万の消費者が「高い商品」をつかまされることになると警告した。

なんかこうなってくると、いっときの三菱自動車叩き報道みたいに、普通にパジェロが何の過失がなくても事故起こしただけで「パジェロ、炎上」みたいな見出しが付けられるような感じになってきたな。って、これは違うけど。二重価格ねぇ……。

こういうのって日本でも行われているのかね。

(追記)
上であまり否定的に書かなかったのは個人的に「二重価格って何が悪いの?」って部分があったからなんだけど、BBSとメールでいくつか情報頂きました。

こういう二重価格は結構普通に行われていて、量販店みたいに大量に仕入れるかわりに仕入れ価格安くして、小さな規模の小売店は仕入れ価格高くするみたいなことは普通の商習慣としてやっているだろうと。ボリューム・ディスカウントってやつね。

問題があるとするなら、同じような規模・扱いのお店AとBで差別的な待遇をした場合だろう、とのことですが上記記事だとそのあたりの細かい情報が書かれてないからわからないんですよね。三菱叩き思い出すって書いたのはそういう部分もあって、ソニーたたければ何でもいいじゃんみたいな風潮がメディアの中に出てきているのかな、みたいなことを何となく感じました。

まぁ日本の音楽CDに限っていうと、再販問題があるのでまた海外とは状況違うんだろうね。一番の問題はそういうリベート率の問題をきちんとオープンにして語られる機会・メディアがないってことのような気はする。

| 音楽業界全般 | この記事のURI | Posted at 23時36分 |

2005年11月11日(金)

Sony BMGのXCP-CCCD問題が大事になりそうな気配

ウイルス:ソニーの音楽CDを悪用、実例が出現(hotwired)

SONY BMG、DRMソフトのrootkit問題で新パッチ、批判は収まらず (ITmedia)

Sony slated over anti-piracy CD(BBC NEWS)
(⇒翻訳

この問題についてはきちんと書かなきゃと思っている内に結構大事になってきてるねー。BBCの記事によるとネット法の専門家であるNick Lockett氏が「イギリスではこのCCCDがコンピュータ不正使用法(Computer Misuse Act)に違反する可能性がある」と述べたそうで。

まぁ単純にrootkit自体は昔からある技術?だし、実際の被害ということを考えれば大騒ぎするほどの問題ではないような気が最初はしてたんだけど、ユーザーが知らない内にセキュリティホール的なものを作ってしまってそれを狙うウイルス(一番上の記事ね)が登場してきたとなると、実害レベルとしても無視できない問題になったような。

ただ、XCPと並ぶ「現在のCCCD技術」であるCDS-300(東芝EMIは「セキュアCD」だとか「フェアフリーダム技術」だとかふざけた名前をつけて問題から目を背けさせようとしてるけど)も、インストールするとPC上でCDリッピングをさせないようにするガードを勝手に埋め込むんだよね。こっちの方は技術的にどうなんだろ? マルウェアとは違う働きなのかな。

あと、Sony系のCCCDというとkey2audioXSっていう次期バージョンが出ていて、これはまぁまぁ良い技術らしいんだけどなんでSony BMGに採用されてないのか、とかいろいろな疑問点はありますな。

そろそろまたCCCD問題について突っ込んだ記事作らないといけないような気がしてきた。何とかしなきゃね。

(追記)
と思ったら。
「rootkit」騒動渦中のSONY BMG、XCP技術採用CDの製造を中止

一時的にやめたものの、まだまだやる気満々のコメント。なんでこんなに愚かなことを繰り返すのかねぇ。その技術が保護しているのは本当に「音楽文化」なのかい? 「アーティストの権利」なのかい? 違うよね。旧態依然とした自分たちのビジネス構造を維持したいだけの技術だもん。アーティスト本人が望んですらいないような「鍵」をかけて、リスナーとアーティストの距離を広げてどうするのよっていう。

(さらに追記)
SONY BMG製CCCDにLAMEのソースコードを盗用した疑い(スラッシュドットジャパン)

こんな「疑惑」も。著作権を守るための技術が著作権(厳密に言えばライセンス?)違反で作られていたという笑えない(笑える?)オチに。

個人的には社員と自称する人が発言したここからの一連のやり取りが興味深い。社員にとっては海外にある関連会社がバカやったくらいの軽い気持ちかもしれないけど、ソニーに対して不満の溜まっている層からすれば、そんなの関係なく「またソニーがバカやってるよ」って印象になっちゃうよね。この件に関して日本のSMEJは何も関連していないわけだけど、なぜか2ちゃんねるだと3年前の秦さんの発言(ごく一部の再生できない人のために、著作権やアーティストの権利をないがしろにするわけにはいかない。より多くの機器で問題なく再生でき、より強力にコピーを防止できる技術が登場すれば、当然そちらに切り替えていくつもりだ)が取り上げられて一緒くたに批判されちゃったりしてるし。この記事を書いたのは他ならぬ俺だったりするので、その点はちょっと複雑ではある。で、それをソニーなら何でも批判したい「一部の人(バカ)」がやってるだけだ、と切り捨てる人も多いと思うんだけど、俺はちょっと違った感覚を持ってて、ここまで極端なソニー叩きではなくとも「なんかソニーってうさんくさいよね」くらいの感じを持ってる人は一般消費者の中に結構な数いるんだろうなと(もちろん、ネットと関わりが深い層っていう条件は付くが)。

基本的に海外の話なので、日本とは違ったところで今後も展開していくのは間違いないんだけど、集団訴訟とかたくさん起きるようなことになると事態はおもしr……大変なことになりそうね。これに関してはSony BMGがやったことであって、当然その決定にはベルテルスマンの判断も多少は関わってるんだろうけど、社名の最初が「Sony」で始まってるから、一般人の意識としては「ソニー」だよなぁ。それはちょっとかわいそうだね、とかいろいろなことを思わなくもないが、まぁ元々が無理筋のコピーガードをCDにかけようとしたからこういう事態を招いたわけで、明らかに自業自得であり、同情の余地はないね。徹底的に叩かれた方がいいと思うよ。

(さらにさらに追記)
この問題って結局「IT業界のプライドと音楽業界の傲慢さの争い」ってのが本質なのかもしれないね。
Microsoftも「駆除」決定――SONY BMGの「rootkit」対策に乗り出す(ITmedia)
職場へのCD持ち込み禁止か--ソニーBMGの「rootkit」CD問題で(CNET Japan)
【元麻布春男の週刊PCホットライン】コピープロテクションCDが招く災い(PC Watch)
FAQ:ソニーBMG製「rootkit」CD問題のおさらい(CNET Japan)
有害なコピー防止技術削除で罪を問われる米著作権法の怪(CNET Japan)

ちなみに一番下の記事の削除するとDMCA違反? という記事は日本でも有効だ(「技術的保護手段の回避」に当たるため)。Sony BMGが投げかけた問題はかなり大きいね。

| CCCD | この記事のURI | Posted at 21時02分 |

2005年10月30日(日)

告知2つ

(1)JASRACのシンポジウムでパネラーとして出演します
詳細はこちら

パネルディスカッション
[テーマ:新たなコンテンツビジネスと権利情報のあり方]
○ コーディネーター
東京大学法学部・大学院法学政治学研究科 教授 大渕 哲也 氏

○ パネリスト
株式会社テレビ朝日編成制作局ライツ推進部長
(社団法人日本民間放送連盟IPR専門部会委員) 高橋 英夫 氏
株式会社電通プロジェクト・プロデュース局文化プロジェクト部主管 斎藤 ようこ 氏
IT・音楽ジャーナリスト 津田 大介 氏
社団法人日本音楽著作権協会 常任理事 菅原 瑞夫

昨年も出させていただいたJASRACシンポジウムでいろいろしゃべります。Podcastingの音楽ライセンスが整っていないことの問題点とか、個人flashで音楽を使うための許諾システムが存在しないことの問題点とかそのあたりの話を利用者・消費者の立場からしてこようかと。


(2)ホームエンターテイメント産業展のシンポジウムでパネラーとして出演します
詳細はこちら

8月にスタートしたアップルiTunesのサービス開始によって我が国の音楽配信も本格化すると言われる。はたして欧米のようにネット配信が席巻するのかどうか。ユーザーの実態調査データを踏まえて業界トップによる討議を行う。

第1部「音楽配信の現状とショップの対応」(12:00〜13:30)
第2部「音楽流通の行方 配信とパッケージの今後」(13:30〜15:00)

◆パネリスト:
(社)日本レコード協会 会長 佐藤 修 氏
(株)ドリーミュージック 取締役 上田 正勝 氏、
(株)イケヤ 代表取締役 池谷 貞悟 氏
ライター/IT・音楽ジャーナリスト 津田 大介 氏

◆モデレーター:音楽評論家 富澤 一誠 氏

こちらは音楽配信系のセミナーですね。パッケージ系の方が多いので、配信のネガティブな面が語られることも多いので、できるだけ意識してポジティブな話をしたいと思っています。

| お知らせ | この記事のURI | Posted at 04時26分 |

2005年10月25日(火)

2ちゃんねるVIP板が浜崎あゆみに「インスパイヤ」された曲を公開

「avexにインスパイヤされて曲を作ろう。」スレ 製作曲 配布所
2ch ニュース速報VIP Presents. Ayumi Hanasaki INSPIRE

(追記&訂正)
トラバもらって気づいたけど、これについては浜崎あゆみの歌を編集しているわけではないのね。声似てるから本人だと思った。うはー、失礼しました。さすがに「曲について」の説明には目を通してはいるんだけど「カラオケ板の有志」ってところを見逃してましたわ。「ぱくりんぼ」も同様で意図的に似せて作ってるのね。いやーよくできてるわこれ。いろんな意味ですげえ。ま、著作権の存在するアリ物の素材を取り出していようと、自分たちで似た声の人を連れてきても、書きたかったことについての趣旨は変わらないので文章はそのままにしておきます。文章の後段で「創造性とは別の部分で職能的価値が生まれてる」って書いてるけど、俺が言いたいのはまさにそういうことだったりするので。まぁ素朴に創作に向かわせるモチベーションがAVEX憎しとかバカにしようみたいなネガティブなものじゃなくて、その労力をもちっとポジティブな方向に昇華させた方がベターなんじゃないの? と思わなくもないことは事実だけど。ただ、こういうのはネガとかポジとかそういう話じゃなくて「単におもしろいからやってるだけ」って人も多そうだしなぁ。よく考えたら俺も高校〜浪人時代に4chのカセットMTR買って一人でシコシコ宅録で、こういう「インスパイヤ」みたいなお遊び的曲を作って他人に聴かせたりしてたけど(聴かされた方は良い迷惑ですね!)、今は見知らぬ人同士が簡単にコラボできる回路がネットにあるんだよね。いい時代、というかすごい時代だ。

で、歌い方や声なんかもこうして意図的に似せて(ま、これは「編集」というより要素だけ抜き出して「再構築」とも言えるかもしれんけど)リスナーをニヤっとさせる手法は、まさに今までの音楽業界における「クレジットされない音楽の引用」的な要素と密接にからんでいる(根っこは同じだ)と俺は思うので、そういう部分を表面化させたという意味でも、2ちゃんねる内からこういう動きが出てきたのは興味深いね。

       ◇     ◇     ◇     ◇

意趣返しとしてはやり過ぎの感もあるけどよくできてる。こういうのが頭でっかちなクリエイティブ・コモンズコミュニティからあまり出てこなくて、2ちゃんねるから出てくるのが日本的だなぁとも思う。

たとえ金にならなくても(金とは無縁の部分だからこそ)、こういう創作意欲というのはネットにごろごろ転がっていて、それに対する賛同があるというのは興味深い現象だ。もちろんそういう事例はプロ・アマ問わずあるものだけど、ネットにたくさんいるアマチュアの場合、匿名であって結果としてコラボになっているケースが多いというのが1つの傾向ではないかと。

創作動機が単純に匿名の人たちから「おもしろい」と評価されたり、ふだんあまり褒められることのない職人・専門的技能を評価してもらいたかったり、単純に流行っているネットの空気に乗っかりたかったりといった、ある種副次的なものであったりすることを「ヨコシマだ」と思う人はいるかもしれない。だが、「コンテンツそのものがコミュニケーションになる」という流れ、いや「コミュニケーションがコンテンツ化する」のでもどっちでもいいんだけど、それがネットの今の空気として醸造されているなら、プロの側にいる人がそれを「読んで」おくことにはそれなりの意味があり、うかつにバカにしたりすると手痛いしっぺ返しを食らってしまうのではないか。

そして、功名心とは若干異なる(彼らは認められたいのか、つながりたいのか。そんなことを問いかけたり規定すること自体に意味があるのか)動機によって作られたコンテンツ(そしてそれは外野から見たときにモチベーションだけでドライブされたコンテンツであるようにも思える)は、2ちゃんねるの文法で届けられた場合、「出る杭」にはならず、匿名の状態で公開される。これがネットコンテンツの未来を考えたときに良いのか悪いのかって問題もあり、これもいずれは考えなきゃいけないだろう(こうやって作られたものが素人のつまらない作品で、プロの側から見たときに全部ばさっと切り捨てられるようなものだったら話は早いのだが、最近はそうでもなくなってきており、また、創造性とは別の部分で職能的価値が発生しているという点も考慮すべきポイントだ)。

そして、何度書き直しても我ながら読みづらい。そして風呂敷は広がっていくばかりでどうにもならないが、あえて読みづらいままにしておこう。

要はこういうイリーガルアート(欧米のイリーガルアートに比べて、単にエイベックスをバカにしたいだけで、志が低いんじゃないの? といぶかしく思う向きもいるかもしれないが、これがイリーガルアートの日本流スタイルなのだという考え方もできなくもない)ものが出てきたときに、「笑って許せる」寛容さがここ数年の音楽業界に欠けていたのではないか、という話である(いや、そんな話だったか? まぁいいや)。ともかく、そういう寛容さがなかったから、今レコード会社(音楽業界)が、2ちゃんねるのみならず、ネットの人たちから「抵抗勢力」的に思われているのではないか、ということだ。ブランド化の逆現象みたいな。

のまネコ問題にしろ、先頃の音速ライン問題にしろ、プロセスさえ間違えなければ「美談」に仕立て上げることができた話なのになぁと俺なんかは素朴に思うけど、そういう考え自体がずれてるのかもね。それくらい今のエイベックスやソニー(これはグループ全体にだろうけど)に対する悪印象は強いような気もする。まぁエイベックスは良い意味でも悪い意味でもネットに対して(ネットに限らず音楽業界全体に対しても)「進取の精神」的なものがあるレコード会社なんだけど、誤解を恐れずにいえばそのやり口がDQNっぽいんだよね。そこも嫌われる原因なのかなぁと。ネットでのイメージ作りが下手なのか、そもそもが相容れない存在なのか。はてさて。

もちろん「2ちゃんねる=ネットの意見」であるはずはないし、それが一般音楽リスナーの意見であるはずもないんだけど、ここ1〜2年で急速に重なっている部分が増えているような気がするのも事実。そうなったとき、「作り手」というより「送り手」がかなり難しい判断(というか慎重な判断)を迫られているのだなぁと思う。そんな抽象的な話でお茶を濁しておくよ。パクられた当事者じゃない奴がパクリパクリうるさく言う状況は、間違いなくおもしろいものを生み出さないだろうし。

上記リンク先は4曲目と6曲目の出来が良いと思った。

| 音楽配信 | この記事のURI | Posted at 22時11分 |

過去のニュースへ

_EOF_