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  • 音楽配信メモの更新は終了しました(2002.1.11〜2014.8.23)。

ナタリーってこうなってたのか 表紙

ナタリーってこうなってたのか

大山卓也 著 / 双葉社

ISBN:978-4575307009 / 版型:18.2×12×1.2cm
ページ数:184ページ / 定価:1080円(税込)

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2007年09月26日(水)

私的録音録画小委員会の議論がほぼ決着しました

1回目の私的録音録画小委員会に出たときの感想とか、この問題に対する基本スタンスとかをこのブログに書いていて、今改めてこれを読み直してみると、あんま変わってないというか、ずーっと俺は同じこと言い続けてきたのだなーと思いましたね。このときから「DRMと補償金なら補償金かな。たかだか20億円とかの話だよ?」と書いてるわけでね。

別に審議会における権利者の「詭弁」に乗せられてそういう発想になってるわけじゃないので、そこのところは誤解してもらいたくないというか、俺は前に書いたことの繰り返しになるけどDRM厳しくなって人々がコンテンツに興味失っちゃうような世の中にはしたくないので、そうではない方向で権利者も利用者も納得できるような落としどころを探る努力は必要だろうと思ってるわけです。「別にいいよ。買わなくなるだけだから」って人は、豊かなコンテンツ状況がなくても生きていける人だろうけど、俺はそういう世の中は寂しいし殺伐としてしまうだろうし、ネット的だったり、商業世界とは違うところで生まれるコンテンツには限界もあると思っているので、もうちょっと良いやり方はないものかな、と思っているわけですね。これはそんなにガチガチの権利者の人とも離れた考え方ではないと個人的には思ってるんだけどね。

さて、とにもかくにも1年半に及ぶ長い議論は終わりました。今日の議事ですが、いくつかのメディアが早速記事にしてくれてます。

「法改正後はYouTube見るだけで違法」は誤解、文化庁が見解示す(INTERNET Watch)
「YouTubeの違法コンテンツも見るだけで違法」は誤解だが……(ITmedia)
「無許諾コンテンツのダウンロードは違法」が大勢・文化審議会小委が中間報告(NIKKEI NET:IT-PLUS)

最後ということで、言いたいことは全部言えたし、確認したいことは最低限確認できたので、それはまぁいいかと。個人的にポイントであると思う部分を列記すると……

INTERNET WatchとNIKKEI NETで触れられている日本レコード協会生野氏の発言。

違法サイトなどからのダウンロードを第30条の適用範囲から除外することに反対意見を表明し続けている津田氏は、権利者団体がユーザーに対して、法改正が実施された場合に民事訴訟を行なう意思の有無を確認した。これに対して日本レコード協会の生野秀年氏は、法改正後にはまず啓発活動でユーザーに違法行為であることを伝え、適法サイトであることを示す識別マークを普及させることが優先としたが、悪質なユーザーについては「訴訟しないとはいえない」と回答した。

津田氏は「ストリーミング映像を録画するソフトも普及しており、ダウンロードだけを対象とするのはおかしい」「(送信側を規制する)送信可能化権で十分ではないか」「ユーザーが違法コンテンツをダウンロードしたかどうかを明確に把握できなければ、権利者を装って金を請求する『振り込め詐欺』が現れるのでは」などと発言。法改正は日本のネット利用のあり方に大きな影響を与えるとの懸念を示した。

改正案では刑事罰はなく、違法な著作物を「情を知って(あーこりゃ違法だね、とわかった状態で)」ユーザーがダウンロードしても、それで「逮捕」されるということはありません。ただし、権利者がユーザーの違法ダウンロードと情を知っていたことを証明できれば、民事訴訟の対象にはなる。で、じゃあ日本のレコード会社はそういうことやるのかな、ということで質問したところ生野氏から「訴訟しないとはいえない」という、「(状況によっては)やるつもりはゼロではないですよ」という回答が返ってきたわけだ。参考までに付け加えると、日本レコード協会は2005年にファイル交換ソフトに音楽ファイルアップロードしていたユーザー5人に対して損害賠償請求を行って一人頭平均48万円和解している。まぁシンプルにいえば、レコ協は既に「アップロード」では民事の損害賠償請求した「実績」があるということだ。

常に「実効性」に疑問符が付けられていたこのダウンロード違法化も、ユーザーにとっては民事訴訟というリスク(もちろん、権利者がユーザーが情を知って違法ダウンロードしていたことを証明しなければならないので、かなり難しいという条件はありつつも)が生まれた、ということになる。

もう1つもINTERNET Watchから。

動画共有サイトに公開されている動画について、専用ソフトを使ってダウンロードする行為は「情を知って」録音録画することになるのか質問。これに対しては川瀬氏が、動画共有サイトに違法著作物がアップロードされていることを理解している場合は「情を知って」に該当すると回答。

これは要するにこういった類の市販パソコンソフトや、こういう類のフリーソフト使用することを想定してどうなの? ってことを聞いたわけだけど、YouTubeに上がってるものが明らかに違法だ、と知っていてこういうソフトインストールして使ったらそれは「情を知って」に当たるという判断ですね。今後遵法精神持ってる人は、YouTubeの(違法)動画を落としてiPodやPSPで見るのはほとんど不可能になるということでしょうね。

最後はITmedia。

津田委員はさらに「30条が改正されれば、違法サイトからのダウンロードが違法であるとの啓発活動も活発にされるだろうが、その一方で例えば JASRAC(日本音楽著作権協会)の名前をかたって『おまえは違法サイトからダウンロードしたから金を払え』というような架空請求が増える可能性がある。ユーザーにとって違法サイトかどうかの判断は難しく、架空請求の被害を受ける可能性がある」と懸念を表明した。

これはまさにここに書いた通りで、架空請求って要するにネットのことがよくわかってない人の「後ろめたさ」につけ込んで振り込ませる振り込み詐欺であるわけだよね。で、今まではそういうのは「アダルトサイト」に限定されていたわけで、どっちかというとある程度の成人男性しか対象にならなかったわけだけど、YouTubeぐらい今時普通のネットユーザーなら誰でも見てるわけで(ネットレイティングスの調査だと日本のユーザーは1200万人とか出てたね)、今までのアダルトサイト中心の架空請求とは異なり、男女問わずより多くの人を「対象」にできるという側面が出てくるわけだ。

だって、この法改正通ったらレコード協会は間違いなく新聞の全面広告とかに「違法ファイルをダウンロードすることが違法行為になりました。ダメ!ぜったい!」っていうキャンペーンやるよ。そういう啓発のために適法マークも作るだろうし、この適法マークも違法業者からしたらとても良い騙すための材料になるんじゃないかな。「お前、適法マーク付いてないサイトから、ファイルを違法にダウンロードしただろう。訴えられたくなかったら下記口座に振り込め」みたいな自動スクリプトで動くサイト作って、今までより効率よく稼ぎましょうなんて業者も出てくるような気がする。

果たしてレコード会社みたいに一部の音楽著作権者の利益を守るために社会不安につながるような改正しちゃっていいの? っていう根本的な疑問は常にある。

もっと言えば、実効性が薄く、社会不安にもつながるような法改正で、国民の「情報入手の自由(≠表現の自由)」を制限するってことがそもそもおかしい。もちろん、「悪質な違法コピーまで放置しておけ」なんてことは俺も言ってない。特に、組織ぐるみの海賊版コピーの対策は徹底的にやるべきだ(もっとも、日本の小物ユーザー相手にするより、確信犯的アジア諸国やイタリアなんかの海賊版業者を何とかする方が先でしょ? とも思うけど)とは俺も思う。しかし、日本はネット上での海賊版対策を行うために著作権法を改正して世界でもいち早く「送信可能化権」を作ったわけだし、より犯罪者の抑止力となるように、世界でももっとも著作権侵害が厳罰になるよう改正を行っているわけだ。「権利者の保護」という意味では十分やっているのに、利用者に多大な混乱を招く可能性がある「過剰な権利保護」を今一部の業界のために与えることの意味がわからないし、それこそ「公正」という意味で明らかに偏ったおかしな施策だろう。

今日の議事で個人的にもっとも残念だったのは、これまで消費者・ユーザー側に立って発言すべき(してきた)人たちが、示し合わせていたかのごとく、俺以外全員欠席していたことだ。最後くらいなんか後押ししてくれたっていいじゃんっていうね。おかげで大変な四面楚歌の中、ひとりKYを貫きましたよ。ネット世論に迎合しようとかそういうのはまったく俺はないけど、でもこれだけネットでも反対意見があるのに、なんかよくわからない会議でみんな議論したつもりになって、法律が改正されていくってのは気持ち悪いものですね。

とはいうものの、あきらめたり嘆いたりするのはまだ早いわけでね。中日ドラゴンズからまだ優勝の目が消えたわけではないように、物事はまだお膳立てが済んだだけに過ぎないのです。

法制小委から国会の場にこの法案の議論の場を移して野党(今だったら民主党になるね)が、この法案は通す価値がないと判断すれば参議院で潰すことは(理論上)できるわけですよ。だから、民主党に「こういうおかしな法案通すとこれこれこういう懸念があるぞ」ってメールを送るのもいいかもしれないし、今後行われるパブリックコメントで反対するというのも1つの手段だろう。

そういうときの「懸念材料」になるものは、審議会が報道される過程の中でそれなりに出すことができたということは感じている(もちろん、十分ではない、もっとうまくやれたんじゃないかという反省もあるけど)。だからまぁ、なんだ。日本オワタと嘆くより先にこういう改正がおかしいと思うならちょっとずつ行動していくのがいいんじゃないかな、と俺は思うよ。別に「違法ダウンロード厨必死だな」、「ニコニコ厨涙目www」っつー感じの人は放っておけばいいとも思うしね。でも、やっぱり違法厨を排除するのは、著作権法30条の改正ではなく、送信可能化権なりほかの法制でやるべきことが俺は「筋」だと思うけどね。そのあたりを冷静に議論できる人も出てきて欲しいな。

| 著作権 | この記事のURI | Posted at 22時23分 |

2007年09月11日(火)

9月27日にクリエイティブ・コモンズ・ジャパンのセミナーに登壇します

9月27日 第6回CCJPセミナー開催

クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのセミナーに商業書籍にCCを付けて販売した事例紹介ということで、共著者の小寺さんと一緒に登壇することになりました。

テーマ「21世紀型オープン・エンタープライズに向けて」

非営利組織から営利企業までをつなぐ新しい「共有」というパラダイムについて、最前線のリーダーたちから活動報告を聞き、また今後の課題についての議論を行います。特に今回は、Wikipediaおよび Wikia創始者のジミー・ウェールズ氏よりフリー・カルチャーの最前線の取り組みについて報告をいただくほかにも、Firefoxや Thunderbirdのグローバルな開発普及をつとめるMozilla Japanから瀧田佐登子 理事長、先日CCライセンスで刊行された書籍「CONTENT'S FUTURE ポスト YouTube時代のクリエイティビティ」の著者である小寺信良氏と津田大介氏を迎え、それぞれの視点からオープンな事業の取り組みについて紹介していただきます。そして後半のパネル・ディスカッションでは、クリエイティブ産業社会の研究の視座から慶應義塾大学DMC機構の金正勲准教授に司会を務めていただき、各講演者と共に議論を深めていきます。


プログラム(敬称略)
13:00 開会メッセージ・ご報告
13:15 野口祐子 (CCJP事務局長/NII客員准教授)
13:35 瀧田佐登子(Mozilla Japan 理事長)
13:55 小寺信良(AV機器テクニカルライター/コラムニスト)、津田大介(IT・音楽ジャーナリスト)
14:15 ジミー・ウェールズ(Wikipedia/Wikia創始者)
14:35 休憩
14:45 パネル・ディスカッション(司会:金正勲 慶應義塾大学DMC機構 准教授)
15:30 質疑応答
16:00 閉会
* 日英 同時通訳有り


主催: クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
共催: 国立情報学研究所(NII)
特別協力: 六本木アカデミーヒルズ
日時: 9月27日(木)13時から16時 (12時30分開場)
場所: 六本木アカデミーヒルズ(49F タワーホール会場)
URL: http://www.academyhills.com/information/map/
定員: 300名(参加費無料)*ただし当日、任意で寄付金を受け付けいたします

参加お申し込み: 参加をご希望される方は、お名前・ご所属・メールアドレスを記載のうえ、seminar AT creativecommons.jpまでご連絡ください。

※スパム対策のため、@をATと表示しています。お手数ですが、ATを半角の@に変換のうえ、ご送信下さい。

ということです。

実際にCCで出版したことで、このような事例?(→詳細)も起きています。大野氏とのこのやり取りは現状「紙」のメディアにCCを付けることから生じる様々な論点を浮き彫りにしており、興味深い事例になりました。9/27のセミナーはこれについての話もしようと思ってます。CCに興味がある人はぜひ上記大野氏とのやり取りを読んでみてください。

やり取りを読んでこの本おもしろそうと思っていただいた方はぜひ「CONTENT'S FUTURE」お買い求め頂けるとありがたいです。

CONTENT'S FUTURE ポストYouTube時代のクリエイティビティCONTENT'S FUTURE ポストYouTube時代のクリエイティビティ
小寺 信良 津田 大介


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ちなみにこの本、4カ月手間暇かけて僕のところに入ってくる初版分の印税は約40万円です! 音楽クリエイターの食えない現状何とかしたいとか言ってる場合じゃないね。俺が単行本出しても食えない現状何とかしないと! 格差社会はんたい!

| お知らせ | この記事のURI | Posted at 15時57分 |

2007年09月07日(金)

「ダウンロード違法化/iPodの補償金対象化」がほぼ決定した件と、ITmediaの記事で抜粋されている発言についての補足

補償金はDRM強化よりまし?――私的録音録画小委員会で議論(ITmedia)

大詰めを迎えてる文化審議会の私的録音録画小委員会の議論。これに去年の春から参加してるわけですが、まぁ最近ははっきり言って徒労感ばかり感じる委員会だなと思いつつ、まぁそれも勉強だなと思って参加してますよ。

で、9月5日の小委員会でITmediaである種余談的にした俺の発言が大フィーチャーされて記事のタイトルまで使われていて、スラッシュドットなんかではすっかり俺が補償金賛成派の寄生虫呼ばわりされているので(何か文句付けるならもうちょっと記事の詳細なり、これまでの経緯とかそのへん理解してから言ってくれと思うが、まぁそんなのはWeb 2.0時代には到底通用しない理屈であり、そもそもスラドの連中に何リテラシーとかまともななこと期待してるの?(プ とか言われたら「それもその通りですね」と答えざるを得ない状況の中)こりゃまあ少なくとも発言の意図とかは、そこに至る前後の文脈などは明らかにしておかなきゃいけないと思い、久々にエントリを書く午前3時←今ココ!

さて、問題となっている記事中の「補償金制度がなくなったら、DRMやコピーガードが強化される可能性がある。DRMが強化されるか、補償金を支払うかの2択なら、補償金を支払う方を選ぶ」という発言だが、これは確かに俺は言った。

でも、この発言につながる前に「前提」と「なぜこれを言うに至ったのか」ということの簡単な説明をしている。そのあたりが省略された状態でこの発言だけ取り出されてセンセーショナルな記事タイトルだけ付けられるのは、ちょっとそれはどうなのよ? と思ってしまうことは事実。ま、自分もレポート記事を書く場合は程度の差こそあれ、似たようなことしなきゃいけない部分はあるし、そういう編集をメディアがするのは(善し悪しは別として)俺はわかってなきゃいけない立場だから、あまりそれについてグダグダ言うつもりもない。訂正を申し入れてもしょうがない話なので、自分のブログで意図を説明します。本当にブログがあって良かったよね。メディアに自分の意図と違う発言が乗ったときに本人が反論否定できるカウンターメディアができたというのは、インターネットがもたらした最大の利点の1つなんじゃないかと思ってるよ、俺は。

また話がそれてきた。えーと、細かい発言はあとで文化庁のサイト上で議事録公開されるので、それを追ってもらえばと思うけど、「補償金制度がなくなったら、DRMやコピーガードが強化される可能性がある」という発言の前に俺が言ったのは「この2年間のなかなか進まない膠着した議論を見てきて僕が思うのは、そもそも論的なものが有効に機能してもし補償金がなくなったら、権利者の人たちは確実にDRMを強化してくるだろうなということ。良い悪いではなく、そういう厳しいDRMが普及する状況になって消費者が自由にコンテンツを楽しめなくなるのなら、返還制度がきちんと実効的に機能する枠組みがある上で1台あたり数十円とか上限を非常に安く設定して補償金を払い、その上で家庭内の私的複製を阻むようなことを権利者がしない……つまり補償金がなくてDRMが厳しい世界と、広く薄い(十分に安い)補償金払って家庭内ではコンテンツを自由にコピーできる世界の二択しかないなら、僕は後者を選ぶ」というような趣旨のこと。細かい発言とは多分違うかもしれないけど、少なくともそういう意図があってかなり細かい条件を付けて、この話をした。

あともう1個重要なのは、この話が椎名委員から「賛成だ」と言われたので、それに対して釘を刺す意味で「ただし、補償金払って良いとさっき僕が言ったのは、返還制度が機能して、十分に安い補償金で、さらには家庭内では自由にコンテンツのコピーができるような環境を権利者がきちんとユーザーに対して保証するという前提があれば、という話。少なくとも今議論の俎上にのぼってる「著作権法30条を改正して、ネット上に上がっている違法著作物のダウンロードを私的複製の外に置いて、ダウンロードする行為を犯罪化させるような状況だったら、補償金払うことは飲めませんよ」という趣旨の返答をしている。

つまりこれは、現実的には文化庁の思惑や権利者の主張とこの審議会の審議の動き方を見るに、「補償金なくしてDRMバリバリの世界にいくか、補償金払う代わりに今までの私的複製の自由な範囲はいじらない」という二択しか(この審議会においては)現実解として存在しえないだろう」と俺が判断して、そんな状況に対してある種皮肉混じりで発言した部分もあるわけです。


だって、このまま行くとこの小委員会、文化庁が書いた絵(それは要するに音楽業界、テレビ業界、映画業界の権利者の要望を100%受け入れるということだね)で著作権法改正決まっちゃうよ。その骨子は

●著作権法30条を改正。ネット上に上がってる違法な著作物(着うたやらMP3やら動画やらP2Pやら)をユーザーがダウンロードすることを「犯罪」にする

→既に日本の著作権法には「送信可能化権」が存在し、違法な著作物をネットにアップロードした奴を罪に問える環境があるし、実際に送信可能化権侵害で逮捕された連中はたくさん出ている。それに加えてダウンロードした者も違法にできるから、RIAAがやってるような音楽ファイルを「ダウンロード」した人を特定して大量に民事訴訟起こして和解金ゲットなんてことを日本レコード協会が日常茶飯事的にやるようになるかもね。「アップした奴が悪い」ってルールで今まで大した問題になってないし、実際今年の頭からレコ協が違法着うたアップローダーに対して警告メール出したらかなり多くのアップローダーが潰れたよね。そんなの効率化すれば、十分違法対策なんてできるでしょうよ。しかも、今知財推進本部で議論されてる「著作権侵害の非親告罪化」とセットになるとかなーりこれイヤな感じになるよね。

一応、この問題について危険性ばかり煽るのもフェアじゃないので、今のところ決まっている事実関係をフォローすると、ダウンロード違法化が実現してもそれは「録音・録画」についての話。テキストやらほかのコンテンツは含まれない。つまり、ニュースサイトの記事をブログに丸コピペしたものをダウンロードしてもそれは別に違法ではない。あくまで音楽業界・放送業界・映画業界だけ守りますよーってことね。でも、そんなえこひいきが罷り通るならそれこそ新聞やら出版社やらが「俺らのコンテンツも守ってくれ!」と文化庁に言いかねなくてイヤですね。そんなことやったら日本のインターネットは潜在的犯罪者何百万人産み出すんだっていう。そもそもそんな法改正自体がおかしいだろみたいな。「一部の著作権者の権益守る」のと「国民に犯罪者が増えること」のどっちが重要な問題なのよっていう。

実効性の話でいうと「違法著作物を“情を知って”ダウンロードする場合」という条件が付く。「情を知って」とは、違法か合法かよくわからない状況でユーザーが間違えてダウンロードしちゃった場合は免責されますよってことね。ただ、レコ協は「適法配信マーク」なるものを作って対応するとか言ってるから、このマーク付いてないサイトからダウンロードした場合は「お前は情を知っていただろ」とか言ってくる可能性はゼロじゃなくなるよね。何のためのマークだよっていう。

あともう1つ大きな話としてはこれは違法になっても「罰則」がないです。未成年者の飲酒喫煙と一緒ですな。ただ、民事訴訟の対象にはなり得るので、RIAAがやってるように「情を知って」ダウンロードしてる個人を対象に損害賠償請求行うなんてことはあるかもしれないね。

「情を知って」ってのは立証するのはかなり難しいとも言われてるから、どこまでこれが「抑止力」となるのか微妙ではある。しかも罰則ないわけだから、この改正が行われたところで「実態」は何も変わらないよって意見もあるんだけど、だったらわざわざ著作権法30条(私的複製)いじる必要ねーだろっていう話だよね。送信可能化権あるんだから、それで対応すりゃ問題ないわけですよ。

だから結局実効性ない法改正してレコード協会が何やりたいかって、多分啓蒙パンフレットとかで「違法な著作物をダウンロードするのは犯罪です」って煽りたいだけなんだろうね。まぁそれで確かに違法ダウンロード多少減らす効果あるかもしれないけど、本来音楽に興味持つはずだった若年層から音楽への興味奪っちゃうっていう「萎縮効果」も十分考えられるんじゃねーの? みたいな部分もあるわな。


●iPodをはじめとするメモリーオーディオを私的録音補償金の対象にする

→俺は私的録音録画小委員会に参加するに当たって書いたエントリで、「iPodはどう見ても音楽をコピーして聴くための機械であり、現状の形で私的録音補償金制度が存続するのなら、iPodは政令指定で補償金制度の対象に含めるべきだと思う」と書いた。この考えは今でも変わってないし、補償金制度が存続するのであれば、iPodは補償金の対象に入れるべきだと思う。だってMDは補償金対象で、iPodが補償金の対象じゃないって状況はどう見てもおかしいよそりゃ。

あと2回を残した委員会の議事進行を見てると、もうこの2つは確定的になってしまったという感じ。前回の小委員会で「30条を改正して違法著作物のダウンロードを私的複製の外に置くというのは、概ね了承を得た」という文化庁のまとめに対して俺は「いや、僕は了承してないし、これ僕どうしても止めたいんですけど、それはどうすればいいんでしょう? これもう決まっちゃったことなんですか?」と身も蓋もない疑問を口にしたら、会場全員苦笑いみたいな空気に包まれて俺がいたたまれなくなったりもしたんだけど、本当にこれ、補償金とかどうでもいい小さな問題で、多くのネットユーザーを潜在的に犯罪者にするような法改正しちゃっていいのかよ、という懸念はずっとある。

だから、今回の発言はこういう状況に対するあてこすりみたいな部分ははっきり言えばあるよ。「30条の変更撤回するなら、まぁ補償金払ってもいいよ。でもどうせできないよね?」みたいな感じね。

まぁ俺はユーザー代表ではないし、実際今回のITmediaの記事への反応見てると「DRM厳しくて補償金なし/DRMなしで補償金払う」の二択なら前者を選ぶって人も結構いるみたいだから、これはもうユーザー代表としてではなく、俺の個人的な意見でこれを言っているということは理解してもらいたいわけです。だってさぁ、音楽別に好きじゃない人は糞厳しいDRMの世界になって音楽聴かなくなって、音楽業界が勝手に衰退しても困らないだろうけど、俺はそんなバカなことして音楽業界に衰退されると困っちゃうんだよね。やっぱ新しい音楽には触れていたいし、ライブに行って感動とかもしたいわけでね。偉そうなこと言うつもりはないけど、端から見て明らかに権利者が頑張ってるDRM強化、保護権利強化、金よこせ的な風潮は、業界の衰退招くだけじゃんって感じてしまうわけですよ。余計なお世話だと思ってる人もたくさんいるだろうけど、業界全体の舵取り失敗してアーティストが迷惑被るのも何だかなーと思うところもありましてね……。まぁだからできるだけ音楽業界とユーザーの意識があんま離れないようなことを目指して、現実的な主張をしようと心がけてるんです。一応これでもね。

で、話を戻すと、俺は実際その二択しかないと思うよ。「補償金そのものがずさんなシステムで妥協の産物で妥当性がない。こんなものはなくすべきだ」って意見は俺もまぁその通りとは思うけど、それでも権利者が意固地にならないための「バッファー」として、数十億レベルなんだったら、「いずれなくなる制度」「十分に低廉な価格」「消費者へのコピーを何らかの形で担保」するという「条件」が揃っているならそれなりの存在意義は補償金にもあると思うんだよね。だって、「DRMフリーにしろ。補償金はゼロにしろ」ってのは消費者は最高な話だろうけど、まぁ実際そんなのは絶対権利者達は受け入れないよ。で、政策がどう決まっていくのかってプロセスを考えたら、そういう状況の中、エンドユーザーがどういう政治的な条件闘争を権利者の人たちとやっていくかって話なわけで、そういう状況を踏まえた中で出てきたのが今回の俺の発言であるわけです。

まとめれば
・俺は下記の条件が整うなら補償金払ってもいいよ

・何ならパソコンとかメモリーカードとかHDDにかけてもいい。ただし、1台当たり10円とか、本当に消費者の負担にならない価格で広く薄く取るって方法。

・ただし、音楽やテレビの録音録画に利用しない消費者(パソコンに補償金かけるなら、ビジネスユースの場合一括で返還する制度作ったりする必要もあるかもね)は簡便な手続きでその補償金が返還される制度の整備が必須。

・補償金かけるなら、基本的に利用者の公正な利用を妨げるような厳しいDRMをかけるのはなし。CCCD、コピーワンス・コピーナインなんかは問題外。

・補償金の分配がどのような理屈・ロジックで行われているのかすべてオープンにする。これはSARAHだけでじゃなく、その先のレコ協やJASRACや芸団協もね。

という主張であるわけです。まぁ当然ここまで細かく説明はしなかったけど、それでも結構いろいろな「条件」は審議会の場で言ったつもり。そのあたりのニュアンスが抜け落ちているのはやっぱりちょっとイヤだな、と思う。


まぁぶっちゃけ、僕はあの委員会に期待することはほとんどやめました。だから、俺は30条改正させるのが本当にイヤなので、メディアで記事書くなり、ほかの方法使うなりして全力で、自分のできる範囲でこれを止める活動に入ります。

で、10月に入ったらこの問題についてパブリックコメントの募集がある。パブコメで30条変更反対がたくさん来たらそれを文化庁もそれを無視して進めるわけにはいかなくなるでしょう。なんで著作権法変わるのがイヤな人は、みんなパブコメ頑張って送りましょうね。

ま、最終局面に入ってきたなという感じです。もうちょっとこの問題はきちんと音ハメ更新することも含めてアクティブにアナウンスしていこうと思ってます。

| 音楽業界全般 | この記事のURI | Posted at 03時38分 |

2007年08月30日(木)

9月1日午後10時より「CONTENT'S FUTURE」をテーマにしたネットラジオ番組を放送します

発売以来ご好評を頂いている「CONTENT'S FUTURE」(略称:コンミラ)ですが、今週末土曜日の午後10時から小寺さんと二人でこの本をテーマにしたネットラジオ放送をやることが決定しました。

9月1日深夜にネットイベントやります(CONTENT'S FUTURE)

『CONTENT'S FUTURE』発売を記念して8月2日に開催されたトークショーでは、ご来場のみなさんから質問を募って質疑応答の時間を設けましたが、「仕事ができる男はLet's Noteですか?」「やっぱVAIOより丈夫なんですか?」などたいへん盛り上がる質問が続出し、時間が足らなくなってほとんどの質問が「次の機会」にということになってしまっておりました。

ということで「次の機会」を開催いたします。といっても今回はトークショーではありません。コンテンツの未来を見つめるコンミラならではの面白い試みとして、ネットラジオとウェブチャットを組み合わせて、インターネット上の疑似トークショー形式で開催します。ネットラジオは津田さんが運営されているradio.gsを利用し、チャットにはAJAXぶりばりで話題のLingrにルームを用意しました。



●当日の進行予定
日時 - 2007年9月1日(土曜日) 22時から25時ころまで

1.22時からネットラジオ「トークショーの質問に小寺×津田が答えるよ」を放送します。システムはradio.gsを利用する予定です。聴き方は音楽配信メモの2007年03月19日のエントリを参照してください。

2.ネットラジオでは、小寺信良×津田大介がトークショーに寄せられた質問を一刀両断快刀乱麻でバッサバッサと答えまくります。だいたい1時間半の予定。司会は弊社編集・野口理香(のぐちあやか)が相務めます。

3.ラジオの最中からチャットはオープンしていますので、「CONTENT'S FUTURE (at Lingr)」に随時お集まりください。ラジオへのツッコミや乗っかり質問などを書き込んでいただけると幸いです。

4.ラジオ終了後(23時半ごろを予定)は、そのままチャット上に小寺さんと津田さんも参加して、ネットラジオの内容を踏まえての質疑応答タイムといたします。質疑応答タイムでは、自由な発言はある程度は控えていただいて、編集部のほうで司会を立てて進行したいと思いますので、ご協力おねがいいたします。

5.Lingrでの質疑応答チャットを1時間半程度行って終了となります。

ぜひご参加ください! お待ちしております。

放送は21:30頃になったらすぐ下にあるPLAYアイコンをクリックしてください。再生されると思います。


上記の方法で聴けない場合は以下のやり方でどうぞ。

http://radiogs.dip.jp:8000/radiogs.mp3
↑このURLをコピーして、Windows Media PlayerやiTunesで開けばOK。放送途中でよく途切れる場合はWinampを使ってURLを開いてみてください。Winampを使って聴くのが一番トラブルが少なく聴けるようです。

●Windows Media Playerの場合

Windows Media Playerを起動して「ファイル」→「URLを開く」をクリック


先ほどコピーしたURLを貼り付けて「OK」をクリック。


●Winampの場合

Winampを起動して「File」→「URLの再生」をクリック


先ほどコピーしたURLを貼り付けて「OK」をクリック。


●iTunesの場合

iTunesを起動して「詳細設定」→「ストリームを開く」をクリック


先ほどコピーしたURLを貼り付けて「OK」をクリック。

| お知らせ | この記事のURI | Posted at 01時56分 |

9月21日(金)行われるICPFシンポジウムにパネリストとして登壇します

9月21日(金)に行われる情報通信政策フォーラム(ICPF)の第5回シンポジウム「デジタルコンテンツの流通を促進する著作権制度のあり方について」にパネリストとして登壇することになりました。

ICPFでは、第19回セミナー(07年6月開催)から3回連続して、著作権制度のあり方について議論を重ねてきました。その集大成として、第5回シンポジウム「デジタルコンテンツの流通を促進する著作権制度のあり方について」を開催致します。

<日時> 9月21日(金)14:00〜17:00
<場所> 東洋大学・白山校舎・6号館6204教室
     東京都文京区白山5-28-20 
     キャンパスマップ

<スケジュール>
14:00 開会および問題提起
    山田肇(ICPF事務局長・東洋大学教授)

14:10 パネリストによる見解の表明

パネリスト:
岸博幸(慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構特別研究准教授)

甲野正道(独立行政法人国立美術館本部事務局長兼国立西洋美術館副館長、文化庁・前著作権課長)

津田大介(IT・音楽ジャーナリスト)

野方英樹(社団法人日本音楽著作権協会企画部部長)

林紘一郎(情報セキュリティ大学院大学副学長)

モデレータ:
山田肇(ICPF事務局長・東洋大学教授)

15:25 休憩

15:40 討論(会場との意見交換を含む)

17:00 閉会

<入場料>
2000円 ※ICPF会員は無料(会場で入会できます)
 
★申し込みはinfo@icpf.jpまで、氏名・所属を明記してe-mailをお送り下さい。(先着順100名で締め切ります。)

錚々たる面々に俺が混じって良いものなのかという疑問がありつつ、前向きな議論ができればと思います。

| お知らせ | この記事のURI | Posted at 01時49分 |

2007年08月21日(火)

「デジタルコンテンツ白書2007」の音楽業界分析を執筆しました

デジタルコンテンツ協会が毎年発刊している「デジタルコンテンツ白書」の最新版「デジタルコンテンツ白書2007」の音楽業界の現状分析を執筆しました。この白書、去年までのものはAmazonで買えるんだけど今年はまだ登録されてないみたいですね。煽り抜きで冷静に分析したつもりなので、今の音楽業界が置かれた状況を客観的に理解したい人はぜひご購入を。

あと、発刊記念セミナーが9月5日(水)午後3時より行われます。「音楽コンテンツのビジネスモデル置換はどこまで進むのか」というテーマで10分ほどの簡単な講演を行う予定です。こちらもご興味ある方はぜひお越しいただければ幸いです。

以下詳細です。

タイトル : 『デジタルコンテンツ白書2007』発刊セミナー
−コフェスタ、コンテンツ市場規模13兆9,890億円、収益構造−
 
日時 : 2007年9月5日(水) セミナー : 午後3時00分−5時30分 (開場 14:30)


場所 : デジタルハリウッド大学 秋葉原メインキャンパス 講義室

〒101-0021 東京都千代田区外神田1-18-13 秋葉原ダイビル7階

JR「秋葉原駅」電気街口徒歩1分
日比谷線「秋葉原駅」徒歩5分
銀座線「末広町駅」徒歩5分
つくばエクスプレス「秋葉原駅」徒歩3分
http://www.dhw.ac.jp/access/index.html#akiba
 
協力 : デジタルハリウッド大学
 
講師 : ◇福冨忠和 氏 (専修大学ネットワーク情報学部 教授)
 『デジタルコンテンツ白書2007』編集委員会 委員長
◇中野晴行 氏 (マンガ産業アナリスト)
 『デジタルコンテンツ白書2007』執筆者
◇数土直志 氏 (株式会社アニメアニメジャパン代表取締役)
 『デジタルコンテンツ白書2007』執筆者
◇津田大介 氏 (IT・音楽ジャーナリスト)
 『デジタルコンテンツ白書2007』編集委員会 委員
◇福島寿恵  (財団法人デジタルコンテンツ協会 企画調査部 産業動向調査担当)
 
講師および内容が追加されることがあります
 
プログラム : 14:30  受付開始
15:00−15:10 ご挨拶
15:10−15:50
白書2007概説
レポーター:DCAJ福島寿恵
○白書2007の概要
○Japan国際コンテンツフェスティバル(コフェスタ)とは何か
○2006年コンテンツ市場規模13兆9,890億円の中身と傾向は
○2006年デジタルコンテンツ市場規模2兆7,699億円の中身と傾向は
15:50−16:00 〜休憩〜
16:00−17:30
パネル討論
モデレータ:福冨忠和氏
パネリスト:中野晴行氏、数土直志氏、津田大介氏
○基調講演:「コンテンツビジネス及びその収益構造の現状と課題」(福富氏)
○講演:「電子マンガは何故伸びたのか」(中野氏)
○講演:「国際展開を期待されるアニメ産業の実情」(数土氏)
○講演:「音楽コンテンツのビジネスモデル置換はどこまで進むのか」(津田氏)
○パネルディスカッション及び会場参加者との質疑応答
17:30 終了

受講料 : DCAJ 正会員  1,000円
DCAJ 情報会員 1,500円
DCAJ 個人会員  2,000円
一般(いずれかの会員でもない方)  3,000円
学生  1,000円

定員 : 100名
 
申込締切 : 9月3日(月)
(ただし、定員になりしだい受付を終了します。早めに申込をお願いいたします。)

| お知らせ | この記事のURI | Posted at 18時12分 |

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