Information
  • 音楽配信メモの更新は終了しました(2002.1.11〜2014.8.23)。

ナタリーってこうなってたのか 表紙

ナタリーってこうなってたのか

大山卓也 著 / 双葉社

ISBN:978-4575307009 / 版型:18.2×12×1.2cm
ページ数:184ページ / 定価:1080円(税込)

▲目次を読む
▲amazon.co.jpで購入


2009年11月15日(日)

久しぶりの単著『Twitter社会論』が発売されました

お久しぶりの更新です。皆さんお元気でしたか。

久しぶりの単著『Twitter社会論』が洋泉社から11月7日に発売されました。ここ2年半ほどブログをほっぽらかしてTwitterに夢中だったわけですが、その経験をぎゅっと濃縮した内容になっています。

特に、社会的な評論本というと、前の共著だった『CONTENT'S FUTURE』が2年前、単著となると2004年の『だれが「音楽」を殺すのか?』が5年前というすげえ前のスパンになるので、いや寡作もいい加減にしろという話ですね。

発売から一週間経って、Twitterを中心に書評を多くいただいているんですが、概ね好評をいただいているようで、ほっとしています。

個人的にはいつまで経っても梅田望夫さんが『ウェブ進化論』の語り口でTwitterを語ってくれなかったので、しょうがなく俺が書いたという感じです。喩えて言うなら、いつまで経っても『LOVELESS』の次のアルバムを出してくれないMY BLOODY VALENTINEに業を煮やしたCOALTAR OF THE DEEPERSのNARASAKIがLOVELESSの続編的アルバム『NO THANK YOU』を出してしまったような感じと言えばわかりますでしょうか。

前書きは下記のような感じです。

「ツイッター(Twitter)が今来てるらしいよ」。ビジネスの現場で、友人との会話で、あるいは街中でそんな話を聞いたことがある人も増えているのではないだろうか。

06年7月に産声を上げたサンフランシスコ発のシンプルなネットサービスは、開始以来順調に成長を続け、シリコンバレー発の他のサービスが停滞する中、わずか3年で世界的にもっとも大きな注目を集めるようになった。ツイッターを運営する米ツイッター社は09年9月、複数の投資会社から1億ドル(約90億円)を獲得し、現在の企業価値は約10億ドル(約900億円)に達すると報道された。06年に米グーグル社が動画投稿サービス「ユーチューブ」を16億5000万ドル(約1500億円)で買収したことを考えると、現在のツイッター社は、「メディア革命」を起こしたユーチューブの買収時に迫るメディア価値を持ちつつあると言っても過言ではないだろう。

ではなぜ、ツイッターはここまでユーザーから圧倒的な支持を受け、類似サービスとの激しい競争の中、グーグルやマイクロソフトといった巨人たちに吸収されずに独自のスタンスを貫けているのだろうか。

それはひとえに、ネットの世界にいち早くリアルタイム・ウェブの潮流を持ち込み、140字という限られた文字数で放送メディア並みの瞬間的情報伝播力を持たせることに成功したからである。これまで分断されている部分が多かったネットの世界と現実社会を「リアルタイム性」によって融合させたツイッターの功績は、とてつもなく大きい。

しかし一方で、ツイッターのことをよく知らない人に、ツイッターの何が革新的なのか、どこが面白いのか説明するのは困難を極める。基本的には、今現在自分が何をしているのかを140字以内で投稿し、同じように投稿された他人の他愛ない日常を読む、たったそれだけのサービスだからだ。だが事実として既に全世界で5500万人近くのユーザーを抱え、彼らの日々の記録をグーグルやマイクロソフトが大金を払って利用しようとしている。ここには一過性のブームでは片付けられない貴重な価値が間違いなく眠っているのだ。

本書はこの大きな可能性を秘めているツイッターについて、「ネットと現実社会のつながり」という社会的側面から考察を加えたものだ。第1章では、ツイッターの生い立ちからこれまでに至る経緯、また、ツイッターにどのような特徴があってユーザーはそれぞれどのような形でツイッターを使っているのかを分析・紹介する。

第2章では、第1章で紹介した特徴を踏まえ、07年4月から現在に至るまで筆者がツイッターをどのように使ってきたのか個人史を紹介しつつ、「tsudaる」とも呼ばれるツイッターを使ったリアルタイム中継について具体的な方法や効能を紹介する。

第3章ではツイッターがメディアやジャーナリズム、政治・政策、ビジネスの現場など、現実社会に対してもたらした様々なインパクトを具体的な事例を元に紐解き、今後それらがツイッターによってどう変わっていくのかを考察する。

そして巻末には、利用開始から驚異的なスピードでツイッターを使いこなし、そのメディアとしての可能性を実践的に考察されてきた勝間和代さんとの対談を収録する。

本書は「社会論」という大仰なタイトルを掲げているが、社会全体の仕組みをシステム的に考察するものではない。そうではなく、現実社会がツイッターという新しいサービスによってどのような変化に晒されているのか、ツイッターユーザーという立場で「現場」から書かれたルポルタージュのようなものと理解してもらった方がいいだろう。

ときに扇情的で、ときに知的興奮に満ち、ときに新たな出会いをもたらし、ときに欲求不満の解消場所となる――本書を読むことでそんな混沌としたツイッターの魅力と可能性の一端を知ってもらうことができれば、筆者にとってこれに勝る幸いはない。

タイトルの「社会論」はぶっちゃけ、同時期にたくさんのTwitter関連本がたくさん発売されて、タイトル候補案のかぶりとかがたくさんあったので、仕方なくこれになったっぽい部分はあります。サブタイトルが「新たなリアルタイム・ウェブの潮流」なんですが、本当のタイトルはそっちなんですよね。ただ、Twitterがテーマなので、Twitterを書名に入れるのはマストだったというところで、このへんが落としどころだったと。

当然のことながら『Twitter社会論』なので、「音楽」でも「配信」でもない書籍です。その本にそういう音楽配信情報的なものを求めている人にとっては、期待を裏切ることになるかもしれません。

音楽配信メモ、とても楽しかったのですが、正直音楽“業界”の変わらなさにウンザリしてたりもするので、多分近いうちに発展的解消という名のサイトリニューアル(名称変更)みたいなものも考えております。

音楽とも配信とも関係ないんですけど、音ハメの輸入権騒ぎとかCCCD騒ぎとかオリコン訴訟問題とか、そのあとMIAUにつながっていく活動とか、あのへんを楽しく読んでくれていた人にとっては、確実に地続きの内容になっているので、楽しく読めるかと思います。新書で777円とお求めやすい価格なので、全般的な満足度はあるかと思います。損はさせませんので、ぜひお買い求め頂ければありがたいです!

Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)
Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)
おすすめ平均
starsTwitterを客観的に理解したい人に勧める本
stars良著です
stars異論もあるけど、刺激的な本
starsそんなに考えてないのに(から?)希望を感じる
stars読みやすい、深い

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| お知らせ | この記事のURI | Posted at 01時39分 |

2009年08月30日(日)

高木さんからの指摘について

高木浩光@自宅の日記 - 津田大介氏の杜撰な評論 その1

上記指摘について簡単に答えさせていただきます。
自分の発言の趣旨は「サイバー犯罪で法律の境界線上にあるものは通常の法適用では逮捕することが難しいが、そういうものも著作権侵害であれば引っ張ることができやすいし、ある種別件逮捕に近い形で犯罪者を抑える」ことが行われることがある。ということです。

ただ、Podcastの書き起こし見ると黄色の部分の後に「本来それは著作権侵害ではなくてもっと悪いことしてるよね」としゃべってるから、「著作権侵害ではなくて」という部分が誤解招くなとは思いました。あのケースでは「著作権侵害よりも情報漏洩で社会的に大きな問題が生じている」ぐらいの意味です。

話を戻すと、あの事件の場合は Winnyの情報漏洩ウィルス作成者に対して何か社会的制裁を与えなければ沈静化できないとする警察の意向は多かれ少なかれあったと思う。あのケースでは人格権侵害が罪を明確化するときに便利だったという話。だから別に事実を「取り違えて」いるわけではないつもりです。

「ありもしないことを憶測で」の部分について言えば、そもそも「著作権はグレーな領域で黒でも白でも裁判官の解釈で判断を変えられる領域が多い」という見解は著作権審議会で専門の学者からも発言されているし、現在のフェアユースの議論もそうした状況を踏まえたものです。著作権に詳しい法律家に話を聞いても、違法行為者をとりあえず「挙げる」ためにある種別件的に著作権侵害が利用されていることは存在するという話は聞きますし、それに対して問題意識を持っている人もいます。僕個人もそうです。

という背景を踏まえた上で「Podcastでリスナーが著作権や日本の裁判制度などの知識が薄い」という前提のもと、ウィニー裁判の話を枕にして、わかりやすくざっくりとした解説をしたつもりでした。専門性の高いイベントだったり、それこそ僕が連載を持っている日経産業新聞のコラムならもう少し細かく書いたでしょう。いずれにせよ初心者向け解説をリアルタイムの音声で行う過程で(少なくとも高木さんに)誤解を生む余地があったのは認めますが、それで「事実誤認に基づいて適当なことを吹き回ってる」と言われると非常に残念です。高木さんからの指摘を謙虚に受け止めてもなお、「事実誤認」をしていたとは思えないので。

とはいえ、確かにこの裁判の持つ社会的な意味は確かに大きいと思います。「この事件における著作者人格権の意義についての論評さえ期待されるところ」というのは確かにその通りだと思うので、どういう形になるかはわかりませんが、何かしら検証や取材をしたいと思います。なので、僕としては「ありもしない事実を流布して人々に錯誤した不満を募らせるようなことをした」つもりはありませんし、ほかの法律家や専門家の方がどういう見解になるのか、というのは気になるところです。

別件のtwitterアカウントのところの不正アクセス禁止法の指摘はありがとうございます。今後気をつけます。

| 著作権 | この記事のURI | Posted at 12時30分 |

2009年08月21日(金)

9月から10月にかけて「自由大学」で牧村憲一さんと「未来型音楽レーベルを立ち上げよう!」という集中講義を行います

3カ月ぶりのご無沙汰です。皆さんいかがお過ごしですか。

久しぶりの更新が告知っていうのもアレなのですが(いつものことです)、前回の話と違って音ハメ直球ネタなので告知します。

ノン・スタンダード・レーベルやトラットリア、フリッパーズギターのプロデュースなどで有名な音楽プロデューサー・牧村憲一さんと一緒に「このネット時代に音楽レーベルを立ち上げるにはどうすればいいか」というテーマで5回の集中授業を行います。

●未来型音楽レーベルを立ち上げよう!
教授:牧村憲一、津田大介
キュレーター:森和夫

[ 日 程 ]
毎週水曜日 19:30〜21:00
9/2, 9/9, 9/16, 9/30, 10/7
※シルバーウィークである9/23は休講いたします。

[ 申込締切日 ]
8/30(日)

[ 受 講 料 ]
28,000円

[ 会場 ]
世田谷ものづくり学校

[ 公式コミュニティ ]
mixi - 自由大学

[ 講義内容 ]
2010年音楽の旅

「インターネットでデビューも楽々!」・・・ところが現実は甘くない。アーティストを抱えてその音楽をどう動かし、認知させていくのか? 今までにない、新しい音楽レーベルの作り方、運営ノウハウをお教えします。契約書の読み解き法、収支見込の立て方など目からウロコのヒジョーに実践的な講義です。

[ 講義計画 ]
第1回 “小さいレコード会社作り”はもうやめよう
メジャーレーベルが軒並み収益で苦戦している中、見よう見まねで小型レコード会社を作っても意味がない。ここでは経営面での収益支出を考えながら「形にとらわれない」レーベル作りを考えて行きます。

第2回 上手なネットとの付き合い方1〜管理
パソコン、インターネットはなにもアーティストや音楽のプロモーションや販売ツールだけではない。事務的な管理、そしてファン管理にもいろいろと役立てることが出来るのだ。ここは日本有数のTwitterの使い手でもあり、「仕事で差がつくすごいグーグル術」の著者でもある津田氏が目からウロコのネット活用術を直伝します。

第3回 権利、契約の落とし穴
肝心な物事を進める時には必ず目の前に表れる権利問題、そして契約書。権利は果たして守り抜くだけでいいのか?契約はすぐに判を押してしまっていいのか? 実際に使われる契約書文例やケースワークを用いながら実践的な対応手段や観点を伝授します。

第4回 上手なネットとの付き合い方2〜プロモーション、販売
音楽配信やSNSでアーティストのプロモーションやセールスもバッチリ!・・・だったら誰も苦労はしない。この時間では普段注目されがちなツールや手段ではなく、その有効的な活用法やリアル展開との共存についてレクチャーします。

第5回 未来型音楽レーベルは荒野をめざす
遂に講座も最終回。4回の講義を受講して学んだノウハウで果たしてこの音楽業界の荒波を渡りきれるのか!? 特別ゲスト(未定。レーベル関係者)を迎えながら実際の運営の問題点やビジョンを講師と共に考えていきます。

[ 申し込み ]
こちらのURLより申し込みが行えます。

今、牧村さんと授業のための準備をいろいろしています。実践的だけど、トークイベント、音楽産業をカルチャー的視点から考えるみたいなスタンスでも楽しめる授業にしようと思ってますので、興味ある方はぜひ受講していただければ。

| お知らせ | この記事のURI | Posted at 17時17分 |

2009年05月12日(火)

「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」を傍聴してきました

ということで行ってきました、伏魔殿こと厚労省の医薬品ネット販売検討会。いやーひどかった。本当はtwitterで中継しようかと思ったけど、そんな雰囲気じゃなかったのと、Windows7のRC版を入れたら通信カードが動かなくなって中継できませんでした。はっはっは。

もういろいろなところで記事も上がっているので、不完全版の議事録っぽいものを上げておきます。

(事務局から、離島の人とそれまでネットで継続的に薬を買っていた人に限って2年間経過措置として買えるようにするという省令を6/1から施行させるという説明のあと自由討議)

阿南久(全国消費者団体連絡会事務局長)「経過措置そのものを設けること自体に反対。筋が通らない。事業者に伺いたいのは何ヶ月か前にこういうことがわかっていたのに、あなたがたは一体どういう努力をしたのか。今更難癖つけても遅い」

児玉孝(社団法人日本薬剤師会会長)「消費者にとってこの改正は大きな意味がある。そこの周知をする時間が短くなってしまったのは大変残念」

足高喜宣(日本置き薬協会常任理事長)「この経過措置だが、対面販売という原則を考えたときにまだ疑問が残る。離島が不便だといったら、山の中にいる人だって不便だ。拡大解釈できる余地がたくさんあるだろう」

三木谷浩史(楽天株式会社代表取締役会長兼社長)「今回の議論を通じてネット販売を慎重に進めなきゃいけないという思いを新たにした。阿南さんからの話でいえば、何で意見を言わなかったのかという話は、そもそも我々にヒアリングの機会を与えられなかったからだ。消費者マーケットは刻々と変化し、2年前とはまったく違う状況になっている。現状をある程度鑑みる必要があるだろう。影響範囲の測定というのは、厚労省のやっていることは不十分ではないかと思っている。アベイラビリティーの議論でいえば、消費者が自分にあった薬を選んでいく必要がある。医薬品が販売停止になってブランド名が変わったりすることもあり、継続購入できなくなる懸念もある。同一の医薬品しか変えないというのは厳しいんじゃないか。今回の経過措置で障害者の人々が買えないというのも問題。自分の提出した資料にも切実な意見が出てきている。妊娠検査薬もネットで気軽に買えなくなってしまう。一生懸命働いている共働きの家庭が被害を受ける」

足高「バファリンを継続販売していたら、ケンコーコムも継続販売できるのか。今バファリンネットで買ってる人はそのまま買えるってことか」

事務局「第二類医薬品であれば含まれる」

足高「二類の医薬品を使っていた客であれば閉ざされないということか。それはいかがなものか」

松本恒雄(一橋大学大学院法学研究科教授)「2年に限定してるが、2年たったら買えなくなる。そうなったら2年以内に離島の対面販売原則をなくすつもりなのか。そうでなく薬局薬店に離島に展開させるよう指導させるのか。それとも通信販売の環境を変えてちゃんとするのか。2年やってあとは、はいそれまでよ、じゃ無責任じゃないか。2年間の意図するところを教えてもらいたい」

事務局「なんで2年か。改正薬事法の経過措置は大体2年。その後は原則に基づくということ。通信販売以外の医薬品については2年といわず体制を整備したい。関係業界の強力もいただきたい。もっと早く整備するが、経過措置は前例としてそうなった」

三木谷「薬局も厳しい状況に入っており潰れるところも出ている。消費者視線というところで考えたら同一の店舗でしか買えないのはおかしい。合併した場合はどうなるのか。この2年間で合従連衡が進む。同一店舗という規制はおかしい」

増山ゆかり(全国薬害被害者団体連絡協議会)「具体的な話が煮詰まらなかったのは残念。業者には専門家としてこういう風に対応しているといった話が聞きたい」

足高「大臣は薬が届かないところがあったら良くない。不便があったらよくないと言った。日本で現在流通している4000アイテムの医薬品すべてが離島であろうが僻地・山間であろうが届かなきゃいけないのか、それとも多少アイテム数が少なかったり、多少不便はあっても、北海道の山の中であろうが東京の離島でも対面で届かけることができるのか。我々は『全部に届けることができる』と言ってきた」

三木谷「わたしはeコマースが専門。医薬品の流通コストは非常に高い。現代はネット販売をうまく活用しながら安全性を確保しながらやるのが世界的に見ても世の中の趨勢になっている。都会はすべての医薬品が買えるのに、田舎だけが50、100種類だけでいいのか。足高先生が全国に届けられると言ったが、困ってる人からすれば、今すぐに欲しい薬が3ヶ月後に届いたところで机上の空論でしかないでしょ。あと事務局に聞きたいのはなぜ離島に限ったのか。過疎地と離島は何が違うのか」

事務局「地勢的にみて、はっきりしているからだ。地続きなところは直接お店に行ってもらえればいいということ。地続きのところの規制をどうするかは医療行政の問題。離島のように店舗が物理的に存在してないところと、地続きで離れているところでは条件が違うだろう」

三木谷「北海道のどまんなかとかは100km先にいかないと薬局がない。それと離島はどう違うの? あとは障害者の対応はどうするつもり?」

事務局「今回の経過措置は利便性と安全性を十分に考えて作ったもの。障害を持っている人に対して利便性を考えなきゃいけない、ということと安全性を考えることは別で、そのバランスを考慮することが重要。最終的に障害者の人が選択購入するときはリアル店舗に来てもらって障害の状態に応じて買って頂きたいという思いがあったので経過措置には入れなかった」

三木谷「障害者にとってはネット通販がライフライン。利便性だけの話ではない。特に視覚障害者の人はネット販売でしか買えないと言ってる。要するに障害者は切り捨てようという話ですね」

児玉「その話は今まで散々この委員会で議論して、現行のシステムの中でがんばっていきましょうという結論になったでしょうが。今更何を言ってるの?」

阿南「私は周知不十分だから2年間の経過措置を設けたという認識。事務局はパブコメにかけるというが、それは利害関係者であるあくまで離島や継続使用者向けのものですよね? そこは確認しておきたい。あと、継続使用の販売記録については楽天が持つんですか。それとも各店舗が持つんですか」

楽天「技術的には店舗でも楽天でも持っている。どっちでもできる」

高柳昌幸(全国配置過程薬協会副会長)「継続使用を確認する義務は販売側にある。本人が販売記録がないのに買いたいと言ってきたらどうする」

事務局「電話でかつて買ったというだけで提供できるかどうかは微妙な話。5月末までに何らかの購入情報があるかということが基準になると思うが、それは最終的には売る立場であるお店が判断する話」

三木谷「前回のパブコメで97%が今回の規制に反対だった。次回パブコメ集めたら公開してくれ。それによって変わるんですか。変えるつもりがないならそもそもパブコメなんてやめちまえ。エンドユーザーの意見、一般の方がどう思うかということが重要だ」

事務局「5月中に省令改正しないと間に合わない」

後藤玄利(日本オンラインドラッグ協会理事長)「2年の暫定措置で6月1日に購入できなくなるという事態は避けられるかもしれないが2年たったら買えなくなってしまう。どのようにすれば通販で安全に購入できるか話し合う場が必要だ。そういう声がいろいろな委員から出ている。そういう場を別途開いてくれ。そうしないと事業者も安心して事業を継続できない」

児玉「そもそも今回の経過措置、離島は入れる必要ないだろう。離島の救済は継続使用する人の中に含めて救済すればいいんじゃないか」

事務局「6月1日以降も新しい薬を買う人も提供するので完全にかさなっているわけじゃない」

児玉「離島であろうが僻地であろうが、我々はちゃんと販売します。離島だけを特別視してやる意味がわからない」

事務局「薬局店舗がないところに関してはこういう経過措置を設けてはどうかという話」

足高「離島の定義がわからない。どんどん離島というところが拡大解釈して広がっていくんじゃないかという懸念がある。淡路島も佐渡島も離島になってネット業者に自由に売られたら困る。言葉の定義をしっかりしてもらいたい。我々は対面販売の原則があるから顔色が悪い人に「病院行った方がいいですよ」とか、薬悪用しようとしている人へ売らないということができて、それが安全弁になっている。そういうものはインターネットがどれだけ進んでも無理。だからこそ離島の定義をきちんとしてくれ」

事務局「法律上決められている。人が住んでいる島。薬局店舗がない。大きな離島は外れる」

足高「僻地への拡大解釈はない? どんどん田舎は薬局がどんどん減っていってる状況で、拡大解釈される恐れがある」

増山「継続使用の定義があいまい。希望すればできるという制度になりかねないんじゃないかと思った。そういう経過措置なら反対だ」

三木谷「正直言って議論がかみ合ってない。かみ合わない根源的な問題はここに出席してる委員がネットユーザーかそうじゃないかだと思う。僕はメールで話した方が本音で話ができるし、若い人はメールの方が本音で話をできる。ここにいる人はネットとか使わない人ばっかりだろう。そもそもこの検討会のメンバーにしても偏ってる。もっとエンドユーザーの意見を大事にしてもらいたい。対面の方が得意な人もいれば、メールの方が楽だという人もたくさんいる。そういう意見をきかないと、今回みたいな取り繕った改正で終わってしまう。根源的なネットのコミュニケーションを正確に捉えてもらいたい。過疎地を救うには本質的にはインターネットを使うしかない。そのあたりを勘案したうえで将来に向けた議論をしてもらいたい」

児玉「今の発言は問題だ。ほかの委員に対して大変失礼だ。足高さん増山さん阿南さんの意見をちゃんと聞け」

三木谷「こんな結論ありきの委員会開いておいてなんだ。そもそも呼ばれてる委員の世代をみてもおかしいだろうが。若いやつが誰一人としていないんだから」

井村座長「世代の話じゃないでしょ」

三木谷「いや世代の話だよ」

増山「今までのネット販売は全然安全性を確保できてなかった。それが反省点としてあるんじゃないのか。本人の情報確認とかネット業者はゆるゆる。ネットで一類の商品買えるようにするとかありえない」

三木谷「一類はそもそも販売しなくてもいいって言ってるんだよ。今まで何聞いてたんだ。ずさんな商品管理の問題はリアル店舗だって起きてる。そもそもそのあたりの制度設計をするときになんでネットユーザーのことを考えなかったのか」

増山「一般商品と同じ感覚で消費者が買っているのが問題。もっと健康に気をつけて買わなきゃいけない。医薬品が持っているリスクをマネージメントできるのかという観点で話し合いが必要。今困ってる人、具体的には離島や高齢者、障害者が困っているからといって、安全性が多少下がってもいいのかという話にはならない」

阿南「私は生活食料品などは全部ネットで購入している。だが、薬についてはやはりやるべきではないと思ってる。三木谷さんはサンデーモーニングで『ネット使えない人が集まって結論ありきで決めた』と発言していたが大変失礼な話だ」

後藤「安全性か利便性か。この議論の一番最初で安全性が重要だということは我々も重視している。そのときに安全性を担保するときに対面販売が絶対的な要素なのかどうなのかというところで食い違いがあるように思っている。その通信販売の安全策を話したかったが時間がないということできなかった。今後2年間でつめてもらいたい」

倉田雅子(納得して医療を選ぶ会)「後藤さんがネット販売で薬害は起きてないといったが、ネット販売で薬害をうけたとしても、消費者はネット業者じゃなくて病院や薬メーカーに文句をいうわけで、ネット業者にはいかない。だからそれはおかしいんじゃないか」

事務局「この先いろいろなことを想定して、制度についてどう対処していくか考える、そのための2年間だと思ってます」

増山「困ってしまう人の対策をどうするか、から始まっているが、誰がどのくらいどういう人が亡くなっているのか、個別にはわかるが全体像が見えにくい。ネットでは反対署名も募集していたが、署名の取り方がそもそも恣意的だった。あれが全員困っている人ではない。議論するときにどういう人がどういう風に困っているのか、それを特定できなければ適正な対処はできないのではないか」

後藤「通販業者としてそれを考えなきゃいけない。この省令案が通っても通販の安全性を高めることは継続的に高めていくことをやっていくし、それが試される2年間だと認識している。その先に業としての医薬品の通信販売ができるようになるか。安全策の周知徹底もやっていくのでよろしくお願いします」

足高「今の後藤さんの話きいても、インターネット通販は今後2年間は継続できるってことだよね。原則はダメなはずなのに、現実はできてしまう。そんなあいまいで不幸な状態続けるのはお互いにとって良くないでしょ。対面販売を崩すなら崩す、崩さないのなら崩さないで厚労省がはっきりと方針を示さなきゃいけない。ネット通販業者を日陰者みたいな扱いにしておくのは良くない」

細部ははしょってるけど、議論的にはこんな感じ。最後に事務局と井村座長がパブコメ受けてもう1回だけ委員会ありますと言ったら三木谷さんが「そんなもんやったって意味ないよ。時間の無駄だ」と吐き捨てるように言ってました。

対立構図としてはネット業者に自らの権益を侵されたくない置き薬協会(足高)、薬剤師会(児玉)が、対面販売じゃなくて売るのは安全性がやばいだろと主張し、それをロジックよりも感情的なレイヤーでネットに対して反発する消費者団体(阿南)と薬害被害者団体(増山)が後押しし、ミキティが半分諦めて苦笑しながら反発するという感じ。

ミキティが主張する、離島や僻地、それと視覚障害や車いすなどでリアル店舗に行きづらい障害者の救済はどうするんだというもっとも重要な論点に対しては、置き薬協会は「我々置き薬は対面販売してるから最強。我々が全国津々浦々回れば済む話。でもお金はないから、医療政策として政府が補助金出して支援してね。ネット? あんな血の通ってない危ない販売方式じゃ問題多すぎる」という主張で、薬剤師会はどっちかというと現状のネット医薬品通販を否定しつつ、自分たちが特別な立場でネット通販的な業務に進出できればいいという思惑がある感じ。消費者団体の人と薬害被害者団体の人は「離島や僻地や障害者の人の救済とか利便性よりも、安全性を確保することの方が重要」というところで思考停止してる(わざとかもね)感じだった。ミキティが第2類(普通の風邪薬とか)だからいいじゃんという論点を出しても、「ネット通販だと一人で100個注文することができるから危険」って、それって別にリアル店舗でも100店回ればできるっつーの。それとも対面販売なら100件回ってるような怪しい客は気づけるって話なのか。風邪薬やらバファリンやらを大量に購入服用して死ぬようなことが本当に「薬害」なのかね、っていう。誰も「安全性ゆるめて医薬品じゃんじゃん消費者にばらまきましょう」なんて話はしてないのにね。

6月以降の2年の経過措置中にネットの医薬品通販の基本的制度設計を整えるって話をしてたけど、このメンツで議論してもぜっっっっっっっっっっっっっっっったいにまとまらないね。ミキティも言ってたように僻地の人とか、エンドユーザーとか、実際にネット通販がないと困る人の意見をすくい上げて社会的にそれがどれほど必要とされているのかを効果測定してやんなきゃだめだろうね。

ミキティが「現代はネット販売をうまく活用しながら安全性を確保しながらやるのが世界的に見ても世の中の趨勢になっている」という趣旨の発言をしたが、米国では処方箋のメールオーダーなんかもある。一気にそこまでいくかどうかはともかくとして、バファリンやら市販風邪薬の通販なんて、そこからしたら大した問題ではないようにも思えるよね(もちろん、医療制度は国によって違いが大きすぎるので単純比較は難しいのだけれど)。

俺が腹が立ったのは足高さんの「僻地への拡大解釈はない? どんどん田舎は薬局がどんどん減っていってる状況で、拡大解釈される恐れがある」ってところ。過疎化が進む田舎で薬局が減るってことは、ただでさえ医療状況が悪くなってるのに、減っているからってそれを理由に拡大解釈してネットで売らせるなよって、俺にはそれは「田舎の人間は死ね」ぐらいの発言に聞こえたよ。

俺が参加してた文化審議会でもそうだったけど、ああいう審議会に昔ながらの「消費者団体」のおばさんが出て、現実のエンドユーザー(もしくは、これからの社会を担う若者と言い換えてもいい)と乖離しまくった意見を言ってそれが「消費者の総意」と役所に判断される現状は何とかならんものかね。別に俺とかMIAUが消費者の総意を代表できるとはまったく思ってないけど、少なくともいろいろな問題に対して消費者の中でも3極くらいの意見があるわけで、そういうものをそれぞれ審議会に出して行かなきゃバランスの取れた落としどころは探れないだろうに。

なんつーか大げさな話をすると、これもある種の日本社会の縮図だよなあと思いましたよ。で、肝心の立法(国会議員)が、こういうエンドユーザーが直接関連する問題の当事者性を持たずに行政に任せっぱなしにしちゃうからなあ。

ま、こういうやり取りがネットに上がって、それなりに多くの人が注目するようになったってことは一歩前進ではある。社会が変わるには、どんどんこういう政策決定プロセスがネットに公開されるようになって、それが実際の票を動かすようになる、そのための環境を地道に整えていくことを諦めないってことしかないんだろうね。

| この記事のURI | Posted at 01時52分 |

2009年04月07日(火)

夜のプロトコル第2回「何が彼女をそうさせたか 〜明治大正昭和 不良少女と少女ギャング団の時代〜」を開催します

NO_02「何が彼女をそうさせたか 〜明治大正昭和 不良少女と少女ギャング団の時代〜」 平山亜佐子(夜のプロトコルBLOG)

僕が参加している「夜のプロトコル」の第2回の講座が開催されます。

■夜のプロトコル・アカデミー:講座02回
「何が彼女をそうさせたか 〜明治大正昭和 不良少女と少女ギャング団の時代〜」平山亜佐子

《概略》
およそ100年前の明治の時代から、堕落書生を成敗したり、男装して女友達と貸座敷にしけこんだりする過激な少女たちがいたことは、意外に知られていません。そうした少女たちやその集団は、明治時代には「莫連女(ばくれんおんな)」や「悪少女団」と呼ばれ、大正時代には「不良少女」「不良少女団」、昭和初期には「モガ」「少女ギャング団」と呼称が変遷し、時代とともにその中身も変わってきました。今回は新聞記事を参照する第一部と、当時の音源を聞きながら解説する第二部の二部構成に仕立て、立体的に展開します。

《第一部》 新聞を騒がす不良少女たち 聞き手:神田ぱん氏

藤原書店主催の河上肇賞奨励賞をいただいた未発表原稿「明治大正昭和 莫連女と少女ギャング団」をもとに、 明治、大正、昭和初期、それぞれの時代を象徴するような事件をとりあげ、当人画像を含む新聞記事を参照し、ときにツッコミ、ときに笑いながら、世相や風俗を解説していきます。未発表原稿なので本にならない場合はここでしか聞けません、ぜひ!

《第二部》 何が彼女をそうさせたか ゲスト:毛利眞人氏

音楽史家でSPレコードコレクターでもある大阪在住の毛利眞人氏所蔵のSPレコード音源を流しながら、大正から昭和初期にかけて花開いたカフェーやジャズ、レヴューなど当時の文化を中心に、社会的・歴史的背景について語り合います。

【日時】4月17日(金) open 18:30 start 19:00
【会場】千駄ケ谷「Loop-Line」
渋谷区千駄ヶ谷1-21-6 第3越智会計ビル B1
http://www.loop-line.jp/access.html
JR 千駄ケ谷駅より徒歩6分
【料金】2000円(1drink付)
・イベント後のパーティを予定しています(会費別途)
・定員は約50名を越えた場合、立見になる場合もあります。ご了承ください。
【予約】この下の予約フォームにて。質問は事務局宛にメールをください。
事務局アドレス=yorutoko@gmail.com

●平山亜佐子
1970年生まれ、東京在住。エディトリアル・デザインのかたわら、文筆活動や音楽活動などを行なう。雑誌「ユリイカ」(青土社)の「文化系女子カタログ」特集号や「戦後日本のジャズ文化」特集号に寄稿。共著に『SNSの研究』(翔泳社、2007)、単著に『20世紀 破天荒セレブ ありえないほど楽しい女の人生カタログ』(国書刊
行会、2008)がある。「明治大正昭和 莫連女と少女ギャング団」で藤原書店主催の河上肇賞奨励賞を受賞。歌のユニット2525(にっこにこ)稼業所属。
http://d.hatena.ne.jp/achaco/

●神田ぱん
1963年生まれ、東京在住。町歩き系フリーライター。三児の母。雑誌「散歩の達人」「コンパス時刻表」(交通新聞社)などで活躍。ミニコミ「車掌」(内容は非鉄)の営業部員という顔も持つ。共著書に「鉄子の部屋」(交通新聞社刊、2007)。
http://www.sepia.dti.ne.jp/syashou/anpan/

●毛利眞人
1972年生まれ、大阪市在住。音楽ライター、日本近代音楽史家、SPレコード蒐集家。執筆、ラジオ原稿、CD復刻、レコードコンサート、音楽に関わるイヴェントのデータ監修など活動は多岐にわたり、カルチャーサロンの講師もしている。2001年より関西発NHKラジオ深夜便「懐かしのSP盤コーナー」(a.m.2:05〜)に音源・解説を提供。単著は「貴志康一 永遠の青年音楽家」(国書刊行会、2006)。09年秋に講談社より2冊目の単著「ニッポン・スウィングタイム(仮)」を刊行予定。
http://www.h4.dion.ne.jp/~kishi_k/

| お知らせ | この記事のURI | Posted at 16時37分 |

過去のニュースへ

_EOF_