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雑談スレッド
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138 名前:S 2004/03/17 15:38
日本とアメリカの音楽業界を行ったり来たりしているものです。

まず日本のCDの価格ですが、アメリカと比べてもそんなに高いとは感じません。アメリカで新譜を大手レコード小売チェーンで購入する場合、大体が16-19ドルです。1ドル110円として計算すると税込みで約1900円―2250円ですので、日本と比べてそんなに違うとは思いません。

ただしアメリカには再販制はないので、大手電気店(Best Buy等)が客寄せのために新譜CDでも原価ぎりぎり(もしくは原価以下)で売るなど、どこで購入するかによって価格にはかなりの差があります。

しかし当然アメリカでもCDの売り上げはここ数年どんどん落ち込んでいるので、何らかの対処が必要である点では日本と同じ状況です。で、過去3-4年のさまざまな試行錯誤(CCCDなんかもありました)の結果、アメリカのレコード会社のトレンドは「CDの価格を下げる」という方向性に向かっていると思います。

ノラ・ジョーンズがデビューアルバムを出したとき、ソニーが9ドルという価格をつけた事が「低価格CDマーケティング」の発端だったと思います。9ドルというと日本円にしても1000円程度。アーティストの話題性とCDの低価格が相乗効果になり、爆発的に売れました。その後いくつかのレコード会社がアルバムを10ドル以下で発売し、かなりの効果をあげました。V2のホワイトストライプスなんかは、そういう戦略で一気に知名度を上げました。

2003年の夏、最大手のユニバーサルがCDの価格を全体的に2-〜3割下げると発表して各社に衝撃を与えました。他メジャーは現状静観しているようですが、おそらく遅かれ早かれ追随せざるを得なくなるでしょう。もちろん各方面からすごい反発(特に小売から)があるわけですが、ユニバーサルとしてはそうやって生き残ってゆくしかないのだという結論に達したのだと思います。

結局音楽業界といえど「消費者が満足して商品にお金を払う」という資本主義経済に最低限必要な基準をクリアしていないと、長期的に産業として成り立たないわけです。そういう意味では、ユニバーサルの戦略は企業として普通の行為なんですよね。それが衝撃であるという点が、音楽業界の特異さをあらわしていると思いますが。

日本の音楽業界の最大の問題は、やはりリスクをとろうとしない保守性だと思います。CDの横並び的な価格を見てもそれは明らかです。ユーザーの価値観がどんどん変容しているのに、それに見合った新しいビジネスモデルを作るという挑戦をしない。CCCDや輸入権なんかの本質とは外れた部分でどんどん内向きに硬直化してゆく音楽業界を見ると、たしかに暗い気持ちになりますし、おそらくレコード会社にとっても消費者にとっても決して幸せな結果を生むことはないと思います。

日本の音楽業界のもう一つの大きな問題はレンタルCDだと思います。こんなに消費者にとってすばらしく、音楽業界にとって壊滅的なシステムがあるのは先進国では唯一日本だけです。もし自分がJASRAC幹部(もしくはレコード会社幹部)だったら、レンタルCDを禁止する法律を真っ先につくり、再販制を完全撤廃し、レコード会社をまともな競争社会に放り込んであげるようにすると思います。

アメリカのやり方が必ずしも良いというわけではありませんが、とりあえず最初に日本の音楽業界のマーケットが正常な競争のシステムの上に立つということが必要ではないかと思います。そうしなければ、結局アメリカ主導のビジネスモデルを数年遅れて日本が飲み込むという従来のパターンが、これからもずるずると引きずられてゆくのではないでしょうか。

長文すいませんでした!

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